28 ページ28
Aside
ゾムさんから送られてきたメールを見て、寒気がした
私の事を聞いてくる男性なんて、“あの人”しかいない
ゾムさんの言う通りに、人が多い所を選んで歩いていく
だが、それが仇になったのか
「A」
彼に、見つかってしまった
私の元彼に
『晴喜、さん』
「いやぁ〜、久々だね！何年ぶりかな？」
『嫌だ・・・嫌だ、来ないで』
「アレ・・・？いつからそんな偉そうな口きくようになったのかな」
彼は笑顔を顔に張り付けたまま、私の事を睨みつけてくる
彼とは水商売の過程で出会った
人一倍独占欲が強く、私が他の男性と寝るとすぐに手を上げてきた
でも私は傷のついた身体が好きな男性とばかり寝ていたので、彼のDVはとどまる事を知らなかった
両親との縁を切り、水商売ともおさらばした時から彼とは会っておらず会うのは数年ぶりだ
「僕と一緒に居た時はそんな口きいたことなかったよね、やっぱりアレかな？あの彩夏って
いうババアに洗脳された？僕は悪い奴だって」
『そんな事ない』
「ないわけないじゃん、あの時Aはそんな事言わなかったんだからさ
ほら、帰ろう？あの家族とは縁切ってさ、もう一度一緒に暮らそうよ」
『嫌だ！』
「・・・ふーん」
彼が手を伸ばしてきた
身体が動かず、固まっている私の手首を掴もうとする
でも、私の手首を掴んだ手は彼の手じゃなかった
ものすごい勢いで身体が引っ張られ、足が動き出す
「走って」
その一言に、パニックになっていた脳内がすっと正常になり、足を前へ前へと動かす
後ろから彼の声が聞こえた気がしたけど、振り返らない
代わりに私の手を引いてくれている人の方を見る
金髪で、どこかのサッカーのユニフォームを着ている男性
なぜか足元はサンダルで、よくこんなに早く走れるなとも思う
「ふぅ〜、大丈夫か？お姉さん」
『はい・・・ありがとうございます・・・』
思った以上に全力疾走だったらしい、息切れがひどい
金髪の男性は少しオロオロした後、周りを気にしながら近くの自販機で水を買ってきてくれた
それを飲みながら息を整え、ペットボトルのふたを閉める
「それにしても、災難やったなぁ」
『ええ、本当に・・・お恥ずかしい所をお見せしました』
「ええねんええねん！俺がたまたま見ただけやし」
そう言って男性は笑う
その笑顔は大人の男性というよりも、少年の方をイメージさせた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 86人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぬこ(プロフ) - 六作目【魔d!×d!】悪魔が遊びに来た 魔界の主役たちが人間界の主役たちと出会うお話です。夢主ちゃんは出てきません。 (2022年9月4日 11時) (
レス) id: 87bf829c46 (このIDを非表示/違反報告)
ぬこ(プロフ) - 再び自分側の不注意で、この作品の編集ができなくなりました。新しい作品が出来た場合、この感想欄に書き込んでいきます。大変申し訳ございません。 (2022年9月4日 11時) (レス) id: 87bf829c46 (このIDを非表示/違反報告)
ぬこ(プロフ) - 自分側の不注意で別アカウントで書いていた五作目が編集できなくなりました、なのでこのアカウントで続きを書いていきます。大変申し訳ございません (2022年5月10日 18時) (レス) id: 4da284d929 (このIDを非表示/違反報告)
ぬこ(プロフ) - わーい！もし地雷でなければこの後のgrさんの小説もぜひ＾＾ (2021年12月23日 20時) (レス) id: d541392df9 (このIDを非表示/違反報告)
アンテール(プロフ) - 最終話お疲れ様です！お話とても良かったです。(*^^*) (2021年12月23日 9時) (レス) @page45 id: 798525d29d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぬこ | 作成日時：2021年10月10日 17時
