第一一〇話 ページ15
コート内の選手全員がセンターに集まる中、海常側のゴールの下、黄瀬が大きな音を立てて崩れた。
反射的にベンチから飛び出そうになるのを、中村と監督に制止される。
それでもと監督に視線で訴えるが「アイツらに挨拶をさせろ」と目で返される。
しぶしぶ席に座ったが、座ったら座ったで、今度は負けたという事実で頭が回らなくなる。
「98対110で桐皇学園高校の勝ち。礼!!」
「「「ありがとうございましたっ!!!」」」
ベンチへ着く前に、黄瀬を支えるため飛び出す。
「黄瀬っ!!」
「っ!!向井先輩っ、俺…!!」
自分より少し高い黄瀬の肩は、ちょうどよく支えられる。
真横から聞こえる声に、せめて自分が落ち着いていようといつもと変わらぬ口調で話しかける。
「大丈夫だ。よくやってくれたよ黄瀬。自分の期待以上だった」
「っ…ぁ…」
今にも泣きじゃくりそうな黄瀬を見ると、自分も目の奥が熱くなる。
けれど、まだ、我慢しなくてはならないのだ…
「黄瀬…まだ泣くな。モデルじゃないのか?少しは感情をセーブしろ」
「しょぼくれてんじゃねぇ!!!全員で全てを出し切った!!全国ベスト8だろうっ!!」
「胸張って帰るぞ」
「向井さん」
「…さつき」
控室を出た廊下。
少し歩くとさつきが立っていた。
「準決勝進出おめでとう」
「…ありがとうござます」
何も言いださない。
特に自分から言うこともないので去ろうかと思ったが、大きい声が聞こえる。
「あのっ!!試合には勝ちました、けど…諜報員としては負けた…と思っています」
「…」
「…ウィンターカップでは…っ」
「ウィンターカップでは勝つ」
「…受けて立ちましょう」
一緒に歩いていた他部員がそろそろ遠くなってきたので、歩き出そうと前を見るが、さつきに言いたいことを思い出す。
「さつき、青峰は怪我をしている。これ以上試合には出さない方がいい」
「…やはり、そう思いますか」
「あぁ。青峰大輝は強く反発するだろうが、彼の今後の為だ。次出せば完全に故障するぞ」
「…はい」
さつきと青峰は幼馴染と聞いている。
思いは深いだろうが、スポーツマンに怪我は死と同等だ。
そう言って前の集団を追いかけた。
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千椛(プロフ) - 更新楽しみに待ってます！！続きが気になります♪ (2022年2月22日 17時) (
レス) @page19 id: 5a2d0a48cd (このIDを非表示/違反報告)
黒岩。(プロフ) - 綾羅さん» ありがとうございます!更新できず、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。これからも長期休業中の更新しか可能ではないと思います。年に数回の更新になると思いますが、長いお付き合いの程よろしくお願いいたします。 (2016年8月1日 3時) (レス) id: d27e53aaec (このIDを非表示/違反報告)
綾羅(プロフ) - とても面白いです！続きが気になります！更新頑張ってください！！ (2016年7月19日 16時) (レス) id: a72ae32185 (このIDを非表示/違反報告)
黒岩。(プロフ) - しんぶんやさん» ありがとうございます!!励みになります!これからもこの作品をよろしくお願いします!! (2016年4月19日 17時) (レス) id: d27e53aaec (このIDを非表示/違反報告)
しんぶんや - 更新楽しみにしてます！頑張って下さい！！ (2016年3月28日 18時) (レス) id: a0ea8290d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒岩。 | 作者ホームページ：
作成日時：2015年12月31日 10時
