続き ページ9
トイレの個室に入ると、ふっと力が抜ける。ぶわっと汗が出てきて、したたる。
このあと授業を受ける気力があるとは、思えなかった。足ががくがくと震えてきていて、熱っぽい。
「体調不良とか……」
情けない。失恋でこんな風になるとは思いもしなかった。俺は小さく息をついて、心を落ち着かせる。
何度か深呼吸を繰り返すと、震えが収まる。先輩と帰る約束をしたが、大丈夫なのだろうか。自分が心配だ。それに、彼女さんと帰るのではないのだろうか。
本当は俺の事を…なんて数ﾐﾘの希望を抱いたが、それはすぐに消える。
「ショッピ？」
聞きなれた声が耳にするりと入る。その声は頭上から聞こえる。見上げると、瓶底眼鏡のチーノの顔が見えた。
「チーノ」
俺が個室から出ると、チーノは個室の扉から降りる。
「あいつらがショッピが遅い〜って言うとったで。」
「あ、ほんま？行かな…」
「ショッピ？」
「何？」
「なんで泣いてんねん…どしたん？」
頬に熱いものが伝っていた。泣いていると気づけば、ぼろぼろとさらに涙がこぼれる。
「先輩、捏島先輩。彼女、できたらしくて。」
チーノが目を見開く。今までに見たことのない顔で、本当に優しい顔をしていて。言葉を発することはしなかったが、俺をなぐさめているような、そんな顔だった。
「その、さ！今日にでも俺んちこいよ。ゲームやろ」
俺は頷く。
俺はチーノの優しさに包まれながら、教室へと戻った。
ーー帰りーー
捏島先輩を待つべく、３年生の下駄箱へと足を運ぶ。足が少し重いが、チーノのおかげですこし、本当に少しだが、楽になっていた。
「捏島先輩。」
「おう！ショッピ君。帰ろかー」
並んで歩く。しかし、何故か無言が続く。
「あの、ショッピ君。その、目、どしたん。」
俺は少し考えて、自分の目が腫れている事に気づく。
「あぁ、ちょっと、色々あって。」
そっか、と言われる。そして、また先輩が口を開く。
「俺のせいだったりするんか」
自分の耳を疑った。ふざけているのかと思ったが、先輩はいたって真面目な顔でこちらを見ていた。
「ちが………わ、ないです。でも、俺がやっぱり悪いんで。」
「どういうことやねん。………話してくれへんの？」
俺はもう終わってしまおうと思った。気持ちを伝えて、ふられて、それでもうおしまい。ただの先輩と後輩。それ以上でも以下でもないのだ。
「その、先輩。俺、先輩のことが」
ごくりと息をのむ。
「好きです。」
ーー続く
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バリバーリリバーリリ - 久我羊さん» ありがとうございます！ (2022年10月3日 17時) (
レス) id: 5a44a18186 (このIDを非表示/違反報告)
久我羊(プロフ) - バリバーリリバーリリさん» 突然の告白好きです。リクエストありがとうございます。しばらくかかると思いますので、気長にお待ちいただけると幸いです…！ (2022年10月3日 13時) (レス) id: c8f3b604c9 (このIDを非表示/違反報告)
バリバーリリバーリリ - コメント失礼します！正直言うてめっちゃ好きです！（突然の告白）応援してます！そして、ciutでひたすらキスするシチュをお願いします！ (2022年10月2日 23時) (レス) @page46 id: 5a44a18186 (このIDを非表示/違反報告)
久我羊(プロフ) - Iam猫さん» ありがとうございます。今書いているものが終わりしだい、書かせていただきます (2022年9月20日 15時) (レス) id: c8f3b604c9 (このIDを非表示/違反報告)
Iam猫(プロフ) - コメント失礼します。htosで焦らし、お願いできますか…？あ、 (2022年9月20日 13時) (レス) id: 2a997d0ece (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：久我 羊 | 作成日時：2020年2月11日 12時
