[Bs.1] 精神安定剤 ページ5
オープン戦が始まりもうすぐ開幕が近くなってきた今日この頃。
「はあ、最悪や……」
調子が中々上がらず困り果てていた。プロ入りしてからスランプに陥ることはあっても少し経てば元に戻っている事が多かったからだ。
「あかん、ほんまに全然調子上がらん。ここ数試合結果出せてへんし、頑張らな。」
居残り練を繰り返していた。そんな時だった
『大丈夫?最近無理しすぎちゃう?バッティングも、守備もいつものAじゃない気がするんやけど。』
「…周平さん」
このままだったら、ずっとスタメンを外されるどころか一軍におれるんやろうか。そんな不安からか焦りと不調がずっと続いていた。
『大丈夫、ちゃんとAが頑張ってんのは見てんで。無理は禁物。…圭太じゃなくて、ごめんな』
「っ、なんで…周平さんが、良い。今は、周平さんが居てくれるだけで。いつも、不調なときアドバイスくれたりするのは周平さんやし。」
『…ほんまに?』
中川さんには弱みを見せられない分、精神的にきつい部分があるといつも周平さんや宗さんを頼ってしまっていた。
「…はい。中川さんに、素直に甘えられない分、周平さんたちの優しさが身に染みるんです。居てくださるだけで、充分です。」
『大丈夫、Aはちゃんと出来てるで。焦らずにやれば大丈夫やから。な?』
「ありがとう…ございます。周平さんに甘えてばっかで、すみません…」
『全然、俺は、Aの精神安定剤やろ?なんて。不安になったら、いつでもAのそばにおるから』
いつも、不安なときに必ずそばに居てくれる。彼がいるだけで、心が落ち着くというか。
「周平さん、本当に、ありがとうございます…」
"圭太じゃなくてごめんな"なんて、言わせたくなくて。求めていることをわかっていて、周平さんがそばにいてくださる、それだけで満足だった。
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作者名:玲奈 | 作成日時:2024年3月3日 9時