29 失恋にはポップソングを ページ30
．
泣きじゃくった目は、赤くて腫れて最悪だ。
だけど、次の日にちょうど予定があって良かった。1人で家にいたくなかったから。
“文化祭”
そう書かれた看板がかかるゲートは、公立のウチとは違い、随分立派だった。
さすが私立、お金がかかっている。
もう10月だというのに、太陽は夏と変わらないくらいだ。
せっかくしたメイクが落ちないよう、必死で手で仰ぐ。
履きなれないヒールで来るべきじゃなかったかもしれない。
「お姉さんも文化祭ですか？」
突然かけられた声に振り返ると、見知らぬ男だった。
「うわっ、めっちゃ美人」
「当たり引いたな、お前！」
不躾な物言いに思わず眉間に皺を寄せる。
人を見世物みたいに、男数人が気色の悪い笑みを浮かべていた。
格好からして、ここの生徒だ。
無視して歩みを再開し、去ろうとすると、それでもしつこく付きまとってきた。
「え？無視はないでしょ。」
「なんか奢るよ？」
「ノリ悪くねー？」
あぁ、最悪だ。
この謎の上から目線と、頭の悪そうな話し方が本当に鬱陶しい。
人自体好きでもないけど、男は特に嫌いだった。
「お高く止まりすぎだろ」
「態度わりーな」
わざわざ一言言わないと終わらないのだろうか。
『…なんで私が、あんた達みたいなウザイ男と話さ』
「Aちゃーーん！！！」
言葉を最後まで言いきる前にそんな声がして振り返ると、満面の笑みで手を振る迅が走ってきた。
『迅！！』
あまりにも無邪気な笑顔に、一瞬でなにもかもがどうでも良くなってしまった。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 266人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やなぎ茶(プロフ) - 桜さん» 箱推しながら、書く度、見る度迅くんの輝きに照らされて焼かれました…。嬉しい仲間！！主人公も好きと言っていただけて！！本当に本当に嬉しいお言葉の数々ありがとうございます…。もう、ただただ嬉しいです🤝大好きです…❤️❤️ (8月4日 0時) (
レス) id: 0d84094dd4 (このIDを非表示/違反報告)
やなぎ茶(プロフ) - 桜さん» 書いていたので、改めて感想を噛み締めてます！超嬉しい😭😭 桜さんの忘れられない恋の思い出の中に入れてくださいぜひ…！！お気に入りのシーンまで😭😭 一つ一つに彼らの魅力を表現できたらと思っていたので、とっても嬉しいです😭 (8月4日 0時) (レス) id: 0d84094dd4 (このIDを非表示/違反報告)
やなぎ茶(プロフ) - 桜さん» そうなんです、最後までどちらに行ってもおかしくなくて自分でもラストは決めてなかったので、迅のこともちゃんと好きだったと言って貰えてすごく嬉しいです！年月と拗らせた執着心に軍配が上がりました笑 このお話キュンするのかな？と思いながら (8月3日 23時) (レス) id: 0d84094dd4 (このIDを非表示/違反報告)
やなぎ茶(プロフ) - 桜さん» 😭😭通知みた瞬間泣きました！！こんなに嬉しい言葉無料でもらって良いんですか😭感想なんて何個あっても嬉しいです、めちゃくちゃ嬉しい😭このお話完結ちゃんとできたの確実に桜さんのおかげです😭こちらこそありがとうございます…！！ (8月3日 23時) (レス) id: 0d84094dd4 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - す！！長々といつもすみません！本当は感想もここまでくどいとご迷惑かなと送るのを躊躇していたのですが、もう感情が抑えきれないので送りました！プレッシャーになったら申し訳ないのですが、これからもやなぎ茶さんのお話を楽しみにしています！！！ (8月3日 22時) (レス) id: 9963392548 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やなぎ茶 | 作成日時：2023年5月3日 21時
