11 トラブルメーカー ページ12
．回想
ショウゴ side
『嫌なもんは嫌なの』
Aは、小さい頃からずっとあの性格だ。
気に食わないことがあったら、まず我慢することはなく、すぐ手が出るし、俺も数え切れないくらいAの癇癪を吹っかけられた。
小さい頃の記憶を辿れば、泣かされた記憶ばかりだ。
俺は、正反対で、自分が我慢して済むならそれでいい。
そんなタイプ。
それなのに、俺はなんでずっと一緒にいたんだろうと常々思わんでもない。
Aと出会ったのは物心つく前だったけど、印象に残っている記憶がある。
『ちょっとあんた、なんで取り返さないのよ。』
「……？」
お気に入りの飛行機のおもちゃを取られ、砂場で遊んでいた俺にAがそう声をかけた。
「べつに、いいよ。」
Aは信じられないものを見るような顔をする。
いかにも気が強そうな雰囲気に臆して、砂場に視線を落とした。
『あんた、それじゃいちもんなしになるわよ。』
｢いちもん、なし…？ 」
『すっからかんってこと！』
「……なってないから、大丈夫だよ。」
そう言った俺に、Aは俺より腹を立て、苛立ちを隠さず顔に表した。
何がそんなに我慢ならないのか理解出来ない。
面倒事はいやだから、はやくあっちに行って欲しかった。
そんな俺と会話することは諦めたのか、Aはどかどかと足音を立てて去っていった。
ほっと胸を撫で下ろして砂の城づくりに興味を戻し、作業を再開する。
砂の塔の先を作るのは難しかった。
『ちょっと、それあの子のでしょ！返しなさいよ！』
「やだっ、べつにいいじゃん！」
耳に飛び込んできた、かな切り声に驚いた自分の手が、塔の先を崩した。
『うるっさいわね！人のもん取るんじゃないわよ！！』
「やめてよ！かえして！」
『泥棒！！』
「いたい！！」
そう言って、その子の頬や頭を引っぱたき、髪をつかんだAに、俺はびっくりして、固まったんだ。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 266人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やなぎ茶(プロフ) - 桜さん» 箱推しながら、書く度、見る度迅くんの輝きに照らされて焼かれました…。嬉しい仲間！！主人公も好きと言っていただけて！！本当に本当に嬉しいお言葉の数々ありがとうございます…。もう、ただただ嬉しいです🤝大好きです…❤️❤️ (8月4日 0時) (
レス) id: 0d84094dd4 (このIDを非表示/違反報告)
やなぎ茶(プロフ) - 桜さん» 書いていたので、改めて感想を噛み締めてます！超嬉しい😭😭 桜さんの忘れられない恋の思い出の中に入れてくださいぜひ…！！お気に入りのシーンまで😭😭 一つ一つに彼らの魅力を表現できたらと思っていたので、とっても嬉しいです😭 (8月4日 0時) (レス) id: 0d84094dd4 (このIDを非表示/違反報告)
やなぎ茶(プロフ) - 桜さん» そうなんです、最後までどちらに行ってもおかしくなくて自分でもラストは決めてなかったので、迅のこともちゃんと好きだったと言って貰えてすごく嬉しいです！年月と拗らせた執着心に軍配が上がりました笑 このお話キュンするのかな？と思いながら (8月3日 23時) (レス) id: 0d84094dd4 (このIDを非表示/違反報告)
やなぎ茶(プロフ) - 桜さん» 😭😭通知みた瞬間泣きました！！こんなに嬉しい言葉無料でもらって良いんですか😭感想なんて何個あっても嬉しいです、めちゃくちゃ嬉しい😭このお話完結ちゃんとできたの確実に桜さんのおかげです😭こちらこそありがとうございます…！！ (8月3日 23時) (レス) id: 0d84094dd4 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - す！！長々といつもすみません！本当は感想もここまでくどいとご迷惑かなと送るのを躊躇していたのですが、もう感情が抑えきれないので送りました！プレッシャーになったら申し訳ないのですが、これからもやなぎ茶さんのお話を楽しみにしています！！！ (8月3日 22時) (レス) id: 9963392548 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やなぎ茶 | 作成日時：2023年5月3日 21時
