誰も報われないはなし(無題) (ページ9)

今日:9 hit、昨日:0 hit、合計:12,146 hit

. ページ9

何度も謝りながら、僕の下で許しを乞うこの女の子に僕はできるだけ優しく微笑みかけた。もちろん、どんだけ謝られても辞めてあげないけど。

「それは気持ちよくなりすぎちゃってることへのごめんなさいなの？やめてくださいのごめんなさいなの？どっち？」

僕が構わずAの良いところを刺激し続けるものだから、もうずっとイキっぱなしになってしまっている彼女は、僕の質問には答られずに涙を流している。

「答えてくれないと先生わかんないなあ」

今もビクビク震えながら快感に飲まれている彼女を眺めて、はは、と笑い声が漏れた。

「気持ちいいの止まんないね」

言葉にならない言葉を発して涙を流す彼女に優しくキスを落とせば腰に彼女の脚が絡みついてきて、僕を離そうとしないのが堪らなく可愛い。

「終わったら、ちゃんとユンギヒョンに会いにいくんだよ。わかった？」

本当にわかっているのかは謎だけど、僕の質問にコクコクと首を縦に振っている彼女をみて満足した僕は「いいこ」とAの頭を撫でて、腰の動きを速めた。

.

俺は、いつも甘ったるい匂いを放っているこの女が嫌いだ。仮にも自分の生徒に嫌いというのはどうなんだろう、と思わないこともないけど、全部コイツが悪い。

「おまえさあ」

俺の低い声に肩を震わせたAに、俺はまた深いため息をついた。頼むから、その匂いで俺の前に現れないでくれ。俺は良識的な大人でいたい。

いつだったか、いい加減にしろとナムジュンに伝えたことがあった。「生徒だぞ、わかってんのか」と、説教口調で口にした。

そんな俺にいつもの人当たりのいい笑顔で「だから？」と言い放ったアイツを俺は初めて怖いと思った。

「逆にヒョンはあの子としたくならないんですか？」

あまりにも不快すぎるその質問に顔を歪ませると「好きとかじゃないので安心してください」と焦った顔をされた。

その言葉で俺が余計に煽られることを理解しているはずなのに。あーあ。本当に、悪い大人に捕まってくれたな、よりによって何でナムジュンなのか。

俺は、Aの頭にできるだけ優しく手を添えてゆっくりと撫でた。

「頼むから、自分を大切にしてくれ。」

お前は、大人がどんだけ怖いかわかってない。