Bitch(移行) ページ5
「っ…は…ナムジュ、せんせ…」
「んー?」
聞きなれた英語教師の声と女子生徒の甘く上ずった声。さっきまで眠り呆けていた僕は、この静かな図書室でこの男女の欲にまみれた行いを、ひっそりと息を押し殺しながら待つ羽目になるなど思いもしなかった。僕は今日一日、ろくに授業も出ずにこの図書室で時間を浪費したことを酷く後悔した。耳を塞ぎたくなるほど甘ったるく乱れた声を上げて鳴くこの女子生徒を俺は知っていた。
2年5組、コ・A。
僕の知っているコ・Aは特別は派手でも地味でもないごくごく普通の女子生徒。「Aさんって知ってる?」と聞かれれば、「A?誰だっけ。あ〜、コ・Aさんね!クラスメイトだよ」程度の印象。僕の知っているコ・Aは学校でこのようなことをする生徒には全くと言っていいほど見えないのだ。しかも相手は紳士でハンサムだと学校1人気のキムナムジュン先生。
この異質な組み合わせと、どこからどう見ても僕の知っているコ・Aとはかけ離れた彼女の姿。
飾り気のないゴムで髪を一つにまとめて化粧もせず、スカートは特別長くも短くもしなければ、露出は最低限。そんな真面目なクラスメイトAちゃんが今、キムナムジュンの手で少しずつ暴かれてゆく。
下ろした艶やかな髪は色っぽく揺れ、頬が赤く染まり、血色の良くなった唇は濡れてまるで化粧を施したような様。僕は、そんなコ・Aの姿から一ミリも目を離せないでいた。
「っはあ、きもちい・・もっと、あっやだ、」
与えられる刺激に目を細め、「もっと」とおねだりする姿は僕の認知するコ・Aとはまるで別人だった。最低限の着衣の乱れから覗く彼女の雪のように白い肌があまりにも色っぽく、僕の目を惹きつける。捲し上げられたスカートからはむっちりと柔らかそうな形の良い太ももが覗き、その真っ白な内腿には美しい水色の蝶が舞っている。僕はそれを見て禁忌に触れてしまったような罪悪感を覚えた。
ぐぐぐ…と僕の欲が膨らむ感覚。おいおい嘘だろパクジミン。まさか、ほんのさっきまで全く意識していなかった女子の姿で興奮するなど、到底信じ難い現実。今すぐにここから逃げ出して記憶を消してしまいたい。激しい自己嫌悪に襲われる。
それでもやはり、熱を持ったコ・Aのあらゆるしぐさが僕の視線を決して逃がしてはくれない。
その時だった。ほんの一瞬、コンマ一秒にも満たない時間、僕の目は確実にコ・Aの目とぶつかり合ったのだ。
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作者名:J | 作成日時:2022年6月16日 20時