・ ページ11
「彼女にして」
私の言葉に一気に表情が暗くなったジミンに、私は正直「やっぱりね」と思った。
ジミンは酷い。酷くて、ずるい。
ただの、欲と欲を満たし合うだけの都合のいい関係のくせに、私のことなんて好きじゃないくせに、ただのセフれのくせに。そのくせ、「好きだよ」とか耳心地の良い言葉を使って、私を甘く深く導く。
好きなら彼女にしてよ、なんて、何度言葉にしようとして飲み込んだんだろう。
口にすれば、今の関係まで失われてしまう、触れなければ手放さずに済む。わかっていたけれど耐えられなかった。なんて馬鹿なんだろうと我ながら思う。でも、確かめずにはいられなかった、たとえ負け戦だとしても、この生ぬるい地獄が続くくらいなら、全部失う覚悟だってあった。
「好きなら、彼女にして」
そう繰り返せば、ジミンの瞳から光が消える。酷く冷たい目をしたジミンが私を見つめて、目を細めた。
さっきまでの甘くてずるいジミンはもうどこにもいない。
「A」
私の名前を呼んだジミンの声が予想よりもずっと低くて、生唾を飲む。
怖い、次の言葉を聞くのがひたすらに怖い。
ジミンの言葉を聞いた私は、何もいえなくなった。きっと、失望された。
183人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:J | 作成日時:2022年6月16日 20時