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「彼女にして」

私の言葉に一気に表情が暗くなったジミンに、私は正直「やっぱりね」と思った。
ジミンは酷い。酷くて、ずるい。

ただの、欲と欲を満たし合うだけの都合のいい関係のくせに、私のことなんて好きじゃないくせに、ただのセフれのくせに。そのくせ、「好きだよ」とか耳心地の良い言葉を使って、私を甘く深く導く。

好きなら彼女にしてよ、なんて、何度言葉にしようとして飲み込んだんだろう。
口にすれば、今の関係まで失われてしまう、触れなければ手放さずに済む。わかっていたけれど耐えられなかった。なんて馬鹿なんだろうと我ながら思う。でも、確かめずにはいられなかった、たとえ負け戦だとしても、この生ぬるい地獄が続くくらいなら、全部失う覚悟だってあった。

「好きなら、彼女にして」

そう繰り返せば、ジミンの瞳から光が消える。酷く冷たい目をしたジミンが私を見つめて、目を細めた。
さっきまでの甘くてずるいジミンはもうどこにもいない。

「A」

私の名前を呼んだジミンの声が予想よりもずっと低くて、生唾を飲む。
怖い、次の言葉を聞くのがひたすらに怖い。





ジミンの言葉を聞いた私は、何もいえなくなった。きっと、失望された。

・→←甘くふかく



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作者名:J | 作成日時:2022年6月16日 20時

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