ジョングクは狼だった (ページ2)

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その視線を無視して、ユンギさんは私を探るような目で見た。

そんな目で見られても、本当に心当たりがないのだから仕方がない。

確かにジョングくんの事を可愛らしいなあとか、綺麗な顔してるなあとか、メイクしている時に思ったりもするし、彼の反応が面白くて少し意地悪したりもする。

しかし、それらは全て、男子がかわいい子をいじめたくなるのと同じような感覚で、異性として特別好きとか、そう言った感情ではないことは確かなのだ。

「アンタって、食えない人なの？」

「…どういう意味ですか？」

純粋な疑問だった。またピリ、とその場の温度が下がる音がした。

「そのまんまの意味だけど」

ジミンさんはさらに困った様子でオロオロとしている。

私が食えないだなんて、まさか。
私は馬鹿正直に生きているだけで、食えない人な訳がない。どちらかというと…

「ユンギさんの方はどうなんですか？」

彼の方が、食えないような。

「……どういう意味？」

「そのまんまの意味です」

一触即発。しかし、喧嘩を売ってきたのは向こうなのだ。

「はは」と、ユンギさんの乾いた笑いが小さく鳴った。

「俺、アンタのこと嫌いだわ」

「私はユンギさんのこと、嫌いじゃありませんよ」

「……そういうとこ」

バンタンのメイクになって約半年、おそらくまともに話したのは今日が初めてであろうユンギさんに、私は見事嫌われてしまったようだ。ちょっと、悲しい。