霜を履んで堅氷至る

10 ページ11

「あのー…私の顔がどうかしました…？」
恐る恐る目の前のお二人に訊いたタイミングで扉ががちゃりと開いて、アダムさんが出てきた。
大人二人に凝視されてどうにもこうにも落ち着かなかったから、彼が現れたことに少しほっとした。

のだが。

「すみません、お待たせしまし…」
はたと私の顔を見て動かなくなるアダムさん。
なんでアダムさんまで…。
そんなことより自分より身長がずっと高い三人に囲まれているこの状況、威圧感がすごい。
「…あの…どういう」
「おいアダム、これはどういうことだ？」
私の言葉に被せて桜華さんがアダムさんに問い掛ける。
「……」
しかしアダムさんはそれに答えずに顔をさっと背けた。
暫く三人をぐるぐるぐるぐる眺めていたが、その間誰も口を開かなかった。
ルチアーノさんはやれやれといった様子でアダムさんと私を交互に見ているし、桜華さんは不満げながらも少し面白がっているような表情でアダムさんを見ているし、アダムさんはむこうを向いたまま黙りこくっている。

「ごめんなさい、どういうことか説明していただけるとありがたいんですが…」
微妙な沈黙と全く把握できない状況に耐えかねて声をあげると、やっとルチアーノさんが答えてくれた。

「…髪と目が、アダムと同じ色になっている」

「…へ？」
思わず間抜けな声が出る。
たしか昨日までは黒…じゃなかった、白だったんだけど。
慌てて髪を一筋掬って見たが、昨日までは色素の欠片もない色だったのが、銀色になっている。
思わずアダムさんを見上げると、金色の瞳と目が合った。
確かに私の髪の色はアダムさんと、お揃いになっていた。
うわ……これは目もそういうことなんだろう。



というか、思い出してみれば今日voidollさんが私のヒーローとしての設定をしてくれて、それから外見に色が付く予定だった。
色々あって大分前のことのような気もするけど、まだ一日も経ってない。
voidollさんの気が変わって、夜中のうちに私の設定済ませたのかな…とか思ったけど、配色をアダムさんと同じにする理由が私には思い付かない。
まあvoidollさんと一緒にいたのはほんとに僅かな間だけだから、性格とか考えとか知らないも同然だし、たぶん何かあったんだろうな。

まあそれはいいとして、ロール、ガンナーが良いっていう要望、まだ伝えられてないんだった。
ガンナーじゃなかったらどうしよう…。



あれこれ考えていると、アダムさんが、ほんの少し笑ったような気がした。

11→←9

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す