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口角を上げながら確信めいた発言をする彼女は、恐らく淡々と話してはいない。慎重にこちらの様子を伺いながら話している。探るように。
「それを私に見られたと思って、
貴方は私をここに閉じ込めてる。
…どうやって病院に協力を仰げたのかは分かりませんが、
大型そういう事だと私は予想します。
……それで…見ていた、と言ったら?
貴方は私を殺しますか?」
………危険だな、と思った。彼女の事が。
彼女の話し方的に、僕の事は見られていないのは確かで、それに少し安心はしていたけれど。
そんな挑発するような発言の仕方…例えば、犯人相手にそんな発言をして仕舞えば殺されてしまいかねない。
彼女が何を考えているのかは分からないが、危なっかしいというか何というか。
「でも残念ながら勘違いです。私は何も見ていません」
「…ふ。そうですか。でも貴方の言葉が嘘の可能性もある。
それに、仮に貴方のいう事が本当だったとして…
怪しい事をする僕にそこまでいうのはやめた方がいい」
_____うっかり殺しかねない
人差し指と親指を立て、指で簡易的な銃の形を作り出した僕は脅しのように彼女の額にあてた。
余裕そうだった顔を作り上げていた彼女の顔は崩れ、その表情は先程のように恐怖の色。
「………なんて。嘘ですよ」
笑顔を作り上げた僕は手を下ろした。
見ていないのならそれでいい。勘違いだったのならそれでいい。嘘をついている様子もない。
…ただ、気になる事もあった。
見ていないのならいないで、どうして彼女は僕に対して怯えている?男が怖い…にしても、医者看護師には全くこの様子は見られないし、扉の外にいる監視役の者にも怯えた様子はない。僕が見る限り、この怯え方は僕にだけ。それに
"何かを怖がってるようで…夜中に見回りにきますが、
布団を頭から丸々被って寝ているようです"
看護師から見た彼女の様子。何かを怖がって、怯えながら過ごしている事。それが少々気になる点。
「…私は別に、貴方にだけ怯えてるわけじゃありません」
悩んでいた僕の考えを読むかのように、その時彼女は言った。
「貴方に限らず…
私は視るもの全てに怯えながら、生きてますから」
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結祈華(プロフ) - 早桃さん» 早桃様。えっ、勿体無いお言葉…最高すぎるコメントありがとうございます!!こちらこそ、死ぬほど嬉しいでございます!これからも楽しんで頂けるよう、更新精一杯頑張らせて頂きます! (2023年4月27日 23時) (レス) id: 074ff9457b (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - え?やば。え??最高すぎますって!ホント死ぬほど面白いです!大好き!これからも無理せず更新頑張って下さい!応援してますぅぅぅ (2023年4月27日 21時) (レス) id: ab1236f4de (このIDを非表示/違反報告)
結祈華(プロフ) - 成瀬さん» 成瀬様。終わらせちゃってます!もう昼は寝ちゃいましょう()ゾクゾクさをお届け出来て良かったです!焦らしているような進まなさですがこれからもお付き合い頂けたら嬉しいです!素敵なコメントありがとうございました!! (2023年4月26日 2時) (レス) id: 074ff9457b (このIDを非表示/違反報告)
成瀬(プロフ) - なんってところで終わるんですかっ…!続きは気になるしゾクゾクするしで昼しか眠れないじゃないですか(称賛) (2023年4月26日 0時) (レス) @page17 id: 2267228289 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:結祈華 | 作成日時:2023年4月15日 23時