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Aは自分の席に着き、
ちーちゃんの席を見つめながら眉を寄せた。
_____ほら、恋なんてするもんじゃない。
したって最後には泣くだけなんだから。
Aは心の中で呟くと
今日の放課後ちーちゃんの家に寄ろうと考えた。
でもまあ、正直私としては助かった。
ちーちゃんが誤解をちゃんと解いてくれたお陰で
私が三ツ谷先輩を好きだって思われないでいるわけだし
千冬に話したおかげか、
結果、本当に大丈夫な問題へと事は収まった。
千冬のおかげじゃないけど、ありがとう。
なんて、心の中でAは謎の礼を幼馴染に向けていた
その日。授業を終えて とある休み時間、
教室を離れトイレに行っていたA。
Aが教室に戻ろうとすると、
ある光景が目の前に映って、思わず足を止めた
目の前には、自分の教室の入り口に
1人の男子が立っていて
クラスメイトの女子2人が何かを話している。
その男子、というのは
上履きの色から先輩で、耳にピアスと銀髪の髪………
「(………あ、れ？どっかで…)」
見たことがある気がする。
目を凝らして近付かず、ジッと見つめながら
誰だ誰だと記憶をたぐり寄せる。
すると、段々と
彼らが話している会話がAの耳に届いた。
「"Aちゃん"って名前の子、このクラスにいる？」
"A"という名前を言い慣れておらず、
まるで初めて言葉にしたかのよう。
銀髪の先輩がその言葉を口にした瞬間、
Aは同時に思い出した。
そう……彼は昨日、
ちーちゃんが告白していた相手の…
______三ツ谷先輩だった。
なぜ彼が自分を探しているのかは分からない。
ただ、関わりたくないAは
教室に戻ろうとしていた足を
クルリと向きを変えて、
再びトイレに向かおうと足を動かした。
「は、はい…！Aちゃんですよね!!」
体の向きを変えても尚、
彼らの話声は聞こえていて、
段々とそれは小さくなっていく。
最も、Aが距離を取っているからなのだが。
女子生徒の1人の声が上擦っている事から、
照れているのだろうというのが分かる。
ちーちゃんから聞いていたが、どうやら
三ツ谷先輩という彼の人気は高いらしい。
だがAは三ツ谷先輩に あまり良い印象はない。
そもそも自分の友達が
その人のせいで泣かされているのだから。
振るのがダメってわけじゃないし、
無理に付き合えとも言わない……が、
泣かされているのは事実。
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作者名：結祈華
| 作成日時：2023年2月11日 0時
