consult.33 ページ33
・
ここから近くのクレープ屋に向かう為、
乗り気な千冬が先に歩き出した。
私も続くように歩き出して、
先程買ったヘアゴムの入った袋を鞄に入れる。
『あそこでお待ちの方、彼氏さんですか?』
『先程 楽しくお話ししてらしたので。
仲良いんですね。素敵です』
ふと、包まれた袋を見て 会計の時の事を思い出した。
女性の店員に突然、
離れた所で待っていた千冬を小さく指をさして
そんな事を言われたのだった。
"うるさかったですよね。すみません"と
あの場でああ言って切り抜けた私。
正直、内心は戸惑っていたのだ。
『付き合うなら、千冬だなぁって』
ちーちゃんに誘導みたいな事をされて
思わず私の口から出た言葉。
店員さんの言葉に、
私は今日言ったあの言葉も思い出したのだった
「(……変に千冬の事見ちゃうじゃん)」
隣で歩く千冬の横顔を盗み見る。
…我ながら、恥ずかしすぎる事を言ったと改めて感じる
今までも今も、そういう対象として見た事はない。
けど、周りから言われる発言に
嫌でもそんな考え方をしてしまって…
「(………私が言うのも変だけど、
千冬は顔も割といいし、優しい所もあるから
モテるとは思うんだよね。……残念な部分もあるけど。
彼女とか、作らないのかな)」
「_____オマエ、さっきから何見てんだよ」
"え?"と声を漏らした。
前を見ていた千冬の顔が
私の方を向いているじゃないか。
…え。見てたの、バレてた?
「視線、うっとーしすぎンだけど。
何か言いたい事あるなら言えよ」
「…ごめん。何でもない」
「は?…………何かオマエ、様子変じゃね?」
「普通だから!何でもない!
どうやって千冬に安いクレープを
選ばせようか悩んでただけ!」
なんて、私の誤魔化しに
千冬は簡単に乗ってくれた。
変な所で千冬は聡いし、危なかった。
…私が考えてた事がバレたら
幼馴染として気まずくなるじゃん!!
「…………高けぇの選んでやろ」
「あのぉ……………お手柔らかにお願いします」
ハハッと笑う千冬。
まずい、つい誤魔化す為に言ってしまった本音
この悪そうな顔…絶対高いの選ぶ気だ。
ぅぅ………調子に乗りやがっ_____
「あ"?何だこのガキ。愛想ねぇな!」
「ガキじゃない。間抜け面」
「間抜け面」
歩いている私達の耳に、怒鳴る男の声が聞こえた。
313人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:結祈華 | 作成日時:2023年2月11日 0時