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ここから近くのクレープ屋に向かう為、
乗り気な千冬が先に歩き出した。

私も続くように歩き出して、
先程買ったヘアゴムの入った袋を鞄に入れる。









『あそこでお待ちの方、彼氏さんですか?』


『先程 楽しくお話ししてらしたので。
仲良いんですね。素敵です』









ふと、包まれた袋を見て 会計の時の事を思い出した。


女性の店員に突然、
離れた所で待っていた千冬を小さく指をさして
そんな事を言われたのだった。


"うるさかったですよね。すみません"と
あの場でああ言って切り抜けた私。

正直、内心は戸惑っていたのだ。









『付き合うなら、千冬だなぁって』









ちーちゃんに誘導みたいな事をされて
思わず私の口から出た言葉。


店員さんの言葉に、
私は今日言ったあの言葉も思い出したのだった









「(……変に千冬の事見ちゃうじゃん)」









隣で歩く千冬の横顔を盗み見る。




…我ながら、恥ずかしすぎる事を言ったと改めて感じる


今までも今も、そういう対象として見た事はない。

けど、周りから言われる発言に
嫌でもそんな考え方をしてしまって…









「(………私が言うのも変だけど、
千冬は顔も割といいし、優しい所もあるから
モテるとは思うんだよね。……残念な部分もあるけど。
彼女とか、作らないのかな)」









 




「_____オマエ、さっきから何見てんだよ」









"え?"と声を漏らした。


前を見ていた千冬の顔が
私の方を向いているじゃないか。


…え。見てたの、バレてた?









「視線、うっとーしすぎンだけど。
何か言いたい事あるなら言えよ」




「…ごめん。何でもない」




「は?…………何かオマエ、様子変じゃね?」




「普通だから!何でもない!
どうやって千冬に安いクレープを
選ばせようか悩んでただけ!」









なんて、私の誤魔化しに
千冬は簡単に乗ってくれた。


変な所で千冬は聡いし、危なかった。


…私が考えてた事がバレたら
幼馴染として気まずくなるじゃん!!









「…………高けぇの選んでやろ」




「あのぉ……………お手柔らかにお願いします」









ハハッと笑う千冬。


まずい、つい誤魔化す為に言ってしまった本音


この悪そうな顔…絶対高いの選ぶ気だ。


ぅぅ………調子に乗りやがっ_____



















 









 




「あ"?何だこのガキ。愛想ねぇな!」




「ガキじゃない。間抜け面」




「間抜け面」









歩いている私達の耳に、怒鳴る男の声が聞こえた。

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作者名:結祈華 | 作成日時:2023年2月11日 0時

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