154.認めてない ページ10
・
七海に頭を下げる虎杖。次に猫に目をやった七海。
頭を軽く下げた猫に対し 虎杖は面識があるのだと知る。
七海と会ったことがあるのは一度だけ。
ここでは名前で呼んでもらって正直助かった。
五条あたりが秘密について説明してくれていたのだろう
「私が高専で学び、気付いたことは…
呪術師はクソということです」
勢いよく言った七海の言葉。
虎杖はポカンとしていて、リアクションに困る。
「そして一般企業で働き気付いたことは…
労働はクソということです」
「そうなの!?」
「同じクソならより適性のある方を…
出戻った理由なんてそんなもんです」
コソコソと五条と虎杖が七海を見ては
"暗いね"なんて話している。
…絶対、バリバリ聴こえているよこの声。
「虎杖君。私と五条さんが
同じ考えとは思わないでください。
私はこの人を信用しているし信頼している。
でも尊敬はしてません」
「あ"あ"ん？」
「上のやり口は嫌いですが私はあくまで規定側です」
七海の言葉に五条は怒るも言葉は止まらない。
規定側…その言葉には緊張が走る。
「話が長くなりましたね。
要するに、私もアナタを術師として認めていない」
宿儺という爆弾を抱えながら、己が有用であると示せ。
そこに尽力しろと正論を述べる七海。
その言葉に虎杖の表情に真剣さが増す。
「……俺が弱くて使えないことなんて、
ここ最近嫌という程思い知らされてる。
でも俺は強くなるよ。
強くなきゃ、死に方さえ選べねぇからな」
ジッと虎杖を見上げていると、彼の顔がこちらに向く。
「……オマエにも、もう無茶させねぇから」
そう言うと次は七海の方を見た。
「言われなくても認めさせてやっからさ、
もうちょい待っててよ」
右手を軽くあげ、笑みを浮かべる虎杖。
「いえ、私でなく上に言ってください」
「あ、ハイ」
「ぶっちゃけ私はどうでもいい」
「ハイハイ!!」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 298人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：結祈華
| 作成日時：2023年2月5日 0時
