153.七海建人 ページ9
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五条の嫌な視線にAは顔をそらす。
一度許してしまうと、虎杖は嬉しそうに撫で続ける。
彼はやはり動物が好きなのか。
動物っぽい性格もしてるし…
「……Aは繊細な子だからね。優しくしてあげて」
「へぇ、人間みたいなんだな、コイツ。
でもそっか。頭良さそうだし」
「(ま、人なんだけどね)」
「(先生…余計な事を…)」
「____悠仁。彼女の事、よく見てあげててね」
五条の余計な言葉に心の中で眉を寄せるA。
猫を撫でる手は止まり、
虎杖は五条の方を見て立ち上がる。
「…任せてよ、五条先生。今度こそ、守るから」
固い決意のその眼差し。
その横顔をAは見上げていた。
すると、虎杖の目が自分に向けられる。
「だから、オマエも心配しなくていいからな」
頼もしく笑う虎杖。
「(……キミのその顔は、
戦えない私に同情してるから?)」
帯がない不恰好な自分。
戦えないと分かって、そう言ってる言葉なのか。
…それとも、
戦える自分でも虎杖はそう言ってくれたのか。
「さっ、悠仁。そろそろ行くよ。
今日の任務は君達だけじゃなくて、もう1人いるから」
五条に言われ、案内されるままに歩き出す。
「今回僕は引率出来なくてね。
でも安心して。信用できる後輩呼んだから」
「その、五条先生の後輩が待ってんの?」
"そうそう"と虎杖に頷く五条。しばらく歩くと
その先に扉があり、勢いよく五条が開けた。
そこに立っていたのは、
ライトグレーのスーツを着た
カナリア色の髪と鼻眼鏡をかけている男_____
「脱サラ呪術師の七海建人君でーす」
「その言い方やめてください」
男の名は"七海建人"。
彼の姿を見る度、五条が肩を組んでサラッと自己紹介。
七海の方は至って平然と、迷惑そうにしていた。
「呪術師って変な奴多いけど、コイツは
会社勤めてただけあってしっかりしてんだよね」
「他の方も、アナタには言われたくないでしょうね」
「(だろうね)」
その変な奴代表は五条ではないかと
七海もAも同じ事を思っていた。
一方 虎杖は七海のサングラスから
呪術師は目を隠している人が多いと感じる。
「脱サラ…
なんで初めから呪術師になんなかったんスか?」
「まずは挨拶でしょう。初めまして。虎杖くん」
「あ、ハイ。ハジメマシテ」
「そして…お久しぶりです、Aさん」
「…ニャア」
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作者名:結祈華 | 作成日時:2023年2月5日 0時