190.心情の共有 ページ46
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「(……これは相当きてるな、悠仁…)」
同時刻、別の場所にいたAにも虎杖の心情が伝わっていた。それで妙にこちらまで沈んでしまう事は仕方がないと思う。
「なんていうかさ。
無理をするなって言ったのに
無理して反転術式使えちゃったって 素直に喜べないな」
「…そこは使えたんですから喜びましょうよ」
「調子に乗るな」
目の前の家入にコツンと頭を軽く叩かれる。高専に戻ってきて、虎杖の次に診てもらったA。自分の怪我はほとんど治っていた為問題はなかったが、何故か家入に怒られた。
「疲労仕切ってる体で、
続けて2回も反転術式を使って…本来なら、
アンタもブっ倒れててもおかしくなかったからね」
家入が心配してくれてるのは分かるが、多少過剰過ぎないかと思ってしまう。保健医だから仕方がないのかなんなのか。
「それで？虎杖には全部話せたの？」
「はい。そのおかげで気持ちが晴れたといいますか…」
気持ちがスッキリしてから使える様になった反転術式。術式どうのというものは、本人の気持ちにも影響があるのか。ずっと、後ろめたいその事がストッパーになっていたのか。
「…もっと早く虎杖に打ち明けてれば、
もっと早く術式を扱える様にもなってたかもね」
「そ、そうかもしれませんね…」
向けられる家入の目が痛くて思わず顔を逸らす。
無理をしていたのを知っている家入は、虎杖に話をしていれば簡単に術式を扱えて、自分の怪我を治して……、
Aが無理なんてする必要はなかったのではないかと考えてしまう。
「じゃあ 虎杖の任務も終わったし、
白神は伏黒達の所に戻るの？
あの子達、毎日のように交流会の特訓してるよ。
無理をするくらい本気でね」
「そうなりますかね。
悠仁の復帰はもう少し時間が必要そうですし…」
どちらにせよ、彼の心はまだ不安定。アレはもう少し時間が欲しい。
このまま自分が彼の側にいても、余計な事を考えさせてしまうだろう。
「……私は、今の虎杖には白神が必要だと思うけどな」
「え？」
「1人になると色々余計な事を考える。
これ以上重く考えさせない為にも、
もう少し側にいてやって欲しいと思うけどな」
「そういうもの、なんでしょうか」
言われてみれば確かにそうかもしれない。1人だと色々と考え込んでしまう。それは、人それぞれなのかもしれないが。
虎杖が望むのなら、もう少しいたいとは思う…
彼の式神として、支えたいと考える。
それが迷惑でないのならの話だが。
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作者名：結祈華
| 作成日時：2023年2月5日 0時
