186.連携 ページ42
・
「(殺してきたか)」
虎杖悠仁、そして…
「_____A!!」
「…了解」
人の姿の、白神A。
虎杖はそのまま七海を掴んでいた腕に拳を落とす。落ちながらAは猫の姿に変わると、2本の帯を伸ばして真人を縛り上げた。
「あれ？治ったんだ。
(反転術式なんて使えるんだ。
しかも、ほぼアイコンタクトだけの虎杖悠仁との連携。
本格的に式神としての能力発揮って所かな、呪いの癖に)」
自分を縛り上げる睨む猫。真人がそっちに意識を取られている隙に、解放された七海と虎杖 2人が交互に真人に攻撃を仕掛けた。身動きの取れない真人はただ2人の攻撃を受けるだけ。
____これが「死」か。
素直に真人はそう思った。
「…！白神さん！ソイツを離して下さい！」
「(ッ、え？)」
何かに気付いた七海。次の瞬間、
_____領域展開
真人の口が大きく開く。その瞬間、彼の周りを沢山の手が囲い出した。慌てて避ける3人…しかし、
_____自閉円頓裹
「…クソッ」
「今はただ、君に感謝を」
七海だけが、真人の領域内に閉じ込められてしまった。
今や虎杖とAの目の前には、真っ黒い大きな球体がそこにあるだけ。この中に、真人と七海の2人がいる。
「ざけんな!!」
虎杖は必死にその球体を殴る。
「(なんでナナミンだけ閉じ込められた!?
このままじゃ…このままじゃ!!)」
「(これは…領域展開。
真人とかいう奴が作った領域に
七海さんが連れ込まれたって事は…マズい)」
虎杖の殴り続けるその手からは血が流れる。虎杖のその手の痛みはAにも伝わる。でも痛いなんて今はどうでもいい、そんなもの感じない。七海をどう領域から出すか
「ッ、どうしたら」
猫の姿だったAは一度人の姿へ戻った。
「A、どうすればいい！どうすれば！」
「……領域の外側は脆い。中にいる七海さんが自力で出るのはほぼ困難。…私達がここを破らないと駄目」
「どうしたら」
「痛いけど、そのまま悠仁は殴り続けて。
そして私は、キミをこの領域の上に運ぶ」
猫の帯を使って虎杖を球体の上まで運ぶ。その上で、先程の様に虎杖には殴り続けて欲しいとAは言った。
「下より上から殴った方が効率がいい。
出来る？悠仁」
「出来るも何も…やるしかねぇだろ。
こんな手の痛み、何ともねぇ。
……あ、でもオマエにも伝わっちまってんだよな。
痛いのは」
「私だって、この痛みは何ともない。
七海さんを、助けるよ」
「ああ、頼む」
猫の姿に変わったAは虎杖を上まで運んだ。そこで再び拳を振るう虎杖。
壊れて、破れて、壊れて____
七海を、助けろ
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作者名：結祈華
| 作成日時：2023年2月5日 0時
