161.蝿頭 ページ17
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伊地知の運転する車の中、後部座席に座る虎杖。
彼の膝には猫が丸まっていて、
虎杖の撫でる手に気持ちよさそうに目を閉じていた。
Aに言わせれば、そこの座席は虎杖からの強制らしい。
「…随分、猫に触れる様になりましたね」
「あー、それ五条先生からも言われた」
その様子をサイドミラーから微笑ましく見ていた。
五条と伊地知の似たような言葉に、自分がどれだけ
この猫に逃げられていたのかが痛感される。
「………何かコイツ、
さっき落ち込んでたみたいだったから
少しでも元気になればなって…
撫でられるのあんま 好きじゃねぇのかもしんねぇけど」
だから自身の膝に乗せ撫でているといった所。
何となく、猫の気持ちが分かるような気がした…
気のせいかもしれないと虎杖は言った。
事情を聞いている伊地知も耳だけ傾けていたAも
その理由を知っている。気のせいではない。
確実に、主人である虎杖と式神が繋がっているということ。
「いました」
町の中。ゆっくりと車のスピードを落とし、
目の前にいる男と一定の距離を取る。あの男が、吉野順平。
伊地知の言葉に猫は目を開けて虎杖の膝から降りると、
前を見るように肘掛けへと移動する。
虎杖もまた体を前のめりにし、吉野という男の背中を見た。
「アレ？私服？」
「高校には暫く行っていないみたいですね」
「それは俺もそうだけどさ…アイツら、元気でやってる？」
「元気にやっているみたいですよ」
虎杖の優しいその顔には
少しだけ寂しさが見え隠れしていた。
猫は虎杖の方に振り返り"ニャア"と鳴いて見せる。
こちらに顔を向ける猫に虎杖は笑いかける。
…寂しいが正直そこまででもない。
それはきっと、コイツがいてくれるから。1人じゃないから。
「で、どうすんの？」
「これを使います」
伊地知が目配せした方は助手席。
その席には小さな檻とその中に二匹の呪霊が入っていた。
「！それ呪霊？」
「"蝿頭"。4級にも満たない低級の呪いです。
人気のない所に出たらコイツに彼を襲わせます」
「う"ぇ!?」
�ー�いを視認出来ない場合、虎杖が救助。
�∋詛Ы侏茲襪�対処する術を持たない場合、
同様に虎杖が救助。事件当日の聴取。
��呪術で蝿頭を祓った場合…即時拘束
「力尽く？」
「力尽くです。誤認ならそれでいい。
謝りましょう。ただ、」
�て鶺藹兒娑幣紊離櫂謄鵐轡礇襪�吉野順平にあった場合、
一度退いて七海と合流。
と、作戦のいくつかを伊地知は説明した。
「二級ならギリなんとかなると思うけどなぁ…
俺1人じゃねぇし、コイツも一緒だし」
確かこの猫は準一級。伏黒が2級との話。
伏黒よりの実力を持っているのは印象的だった。
そういえば、
「(白神も準一級とかって言ってたっけ？)」
ふと、虎杖の頭に白神の事が浮かぶ。この猫と同じ階級。
2人が一緒に任務に行ったらどうなるだろうか少しの興味。
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作者名：結祈華
| 作成日時：2023年2月5日 0時
