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145.タイプ ページ1






「別に、好みとかありませんよ」









意味はわからない。

しかし、目の前の東堂の気配は
今にも襲い掛かりそうなほどの戦闘態勢。
隣には釘崎、揉め事も避けたく 伏黒は答えた。









「その人に揺るがない人間性があれば、
それ以上は何も求めません」









頭に浮かんだのは姉の姿。

"人を許せないのは悪い事じゃない、
それも恵の優しさ"だと笑顔の姉。

今はもう見られない、姉の姿。


それと、




 




"だから、ありがとう…_____伏黒くん"




 




_____何故か、アイツの姿も一瞬映った。


人になりたいと言った、
初めて自分の前で泣いた時と笑顔を向けた時。
それは完全に人間でしかない姿。









「悪くない答えね。
巨乳好きとかぬかしたら私が殺してたわ」




「うるせぇ」









茶化す釘崎は後でAにも
先程の発言を聞かせようと企むように笑っていた。









「やっぱりだ。_____退屈だよ、伏黒」









ツーっと息を吐き、明らかに東堂の気配が変わった。
その姿に背筋が凍った伏黒は
すぐさま手を合わせて構える。

次の瞬間、素早い動きで伏黒へ迫った東堂。
そして、伏黒は吹っ飛ばされた。


ここから、始まった。

伏黒と東堂、釘崎と真依がそれぞれ戦っていた。




伏黒は式神を出し、近接タイプの東堂から距離を取る。
しかしそれをものともせず、東堂は
伏黒の間合いに入り込んでは伏黒を痛めつける。
伏黒の頭から額にかけて真っ赤な血が流れ落ちる。


建物など気にしない東堂は伏黒を掴んだまま突っ切る。
一階から上へ、建物の見晴らし台に着く頃には
伏黒の意識は既に不安定だった。









「やる気がまるで感じられん」




「…下手に出てりゃ偉そうに。
そこまで言うなら…_____やってやるよ」









ボロボロの伏黒の気配が変わる。
その姿に東堂は一瞬目を見開いて_____




 









ヒュッ




 









その時、伏黒が白い帯に掴まれて宙に浮く。
東堂から離れるように、動かされる。
伏黒が後ろを振り返ればそこには白い猫がいた。









「A…!!?」









伏黒を東堂から離すように自分へ引き寄せる。
伏黒をゆっくりと床に下ろすと光が溢れ、
彼女の姿が人へと変わる。









「恵!どうして、こんな…」









ボロボロの伏黒。
今にも意識が飛びそうな彼を見て、
目の前の東堂に睨むA。

見ただけで分かる、強い相手だと。

それと同時に心臓が激しく音を鳴らし体が熱くなる。
_____これは、確かな怒り。

146.退屈→



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作者名:結祈華 | 作成日時:2023年2月5日 0時

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