49.小さな体で背負うもの ページ49
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ベッドから体を起こし、
ニヤリと笑ってAは言ってみせた。
突然と自分の名前を呼ばれたり、
その艶っぽい表情に五条は目を奪われる。
_____ああ、この子は こんな小さな体で
どれだけ大きなものを背負ってきたのだろう。
生まれた時に自分は普通ではない事を突きつけられ、
幼い頃に両親を亡くし、ずっと1人ぼっちで生きてきた。
狙われる事に怖くないはずがないのに、
こうやって立ち向かうのを当たり前に出来ている。
恐怖心を隠し、心底強いと思った。
「…_____ッ、わ……ご、五条さん!?」
無性に、抱きしめてやりたくなった。
五条はベッドに座るAを強く抱きしめた。
その体は小さくて細くて、
すぐに壊れてしまいそうなほど儚くて。
「強がっちゃってさ……本当は怖いでしょ？」
「っ、え？怖いって、何がですか？」
「もうさ、Aは
何も我慢しなくて良いんだよ。
これまでと違って、もう君は1人じゃない。
怖いなら怖いって言って泣いても良いし、
全部僕に委ねてよ」
「………あの、なんか意味が…」
自信満々の五条とそれに
少し引いて、困り顔をするA。
「はぁ〜〜、やっとAが名前呼んでくれた」
「えっ、そこ…ですか？」
「だって、出会って1週間経つのに
名前呼ばれないのは悲しかったよ？」
「………………少し、怖いかもしれません」
「………」
「でも 私は_____ここにいるって決めたので」
ここにいたいから、
そんな場所が自分にも気が付けば出来ていた。
ここにいられるように、
逃げる事はやめて戦うと決めたのだ。
最も、合格を貰わなければ話にならないのだが………、
『お前の今の顔見たら分かる。
…不合格になんてならねえよ』
伏黒…彼のあの時の言葉が自分を勇気付けていた。
「じゃ、そんな頑張り屋さんのAに
グッドルッキングガイ五条悟先生が
またハグをしてあげよう」
「えっ…？」
「遠慮しないでって」
「_________いや、遠慮とかじゃないでしょ」
そこへ、1人の声が聞こえて
五条とAがその方向を見てみれば、
部屋の扉には伏黒が立っていた。
「先生……生徒にセクハラしないで下さい、
訴えますよ？」
「こっわ…恵、そんな顔ダメだよ？」
伏黒は五条を冷めた目で見ており、
五条は"キャー"なんて声を上げている。
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作者名：結祈華
| 作成日時：2022年12月21日 15時
