48.狙われる ページ48
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五条と話していると、また伏黒の言葉を思い出す。
自分の為に怒ってくれた、彼のことを。
「……ごめんなさい…
実はその後が上手く思い出せなくて…」
「(…やっぱり記憶を消されてる、か…
あの時Aが必死に
僕に伝えようとしてくれた理由がわかる。
この後に忘れてしまうと、
彼女も勘づいていたのだろう)」
思い出そうとすると、頭が痛くなる。
頭が痛いまま考えると、
誰かもう1人いたような微かな記憶と
何かの呪霊がいた気がする。
曖昧で自分の記憶かどうかも疑うほど薄いもの
そういえば、
「…あ!伏黒くん!伏黒くんは、…大丈夫…ですか?」
「うん。恵は大丈夫。
それよりも、怪我の方に関しては
君の方が大丈夫じゃない筈だね」
「え?」
少し前に、五条は先に目覚めた伏黒に話を聞いていた。
伏黒もAも綺麗に、
その呪詛師の事を忘れている…
というよりも、記憶を消されたのか。
そこまでするとなると、
相当バレたくない呪詛師なのか…あるいは___
「A、残念だけど君は狙われてるようだ」
伏黒が朧げに話していた。
その呪詛師は自分よりも
Aに興味を示していた気がすると。
消された記憶で曖昧な割には
何故かそれだけはすんなりと入ってきた。
呪詛師ならば、何かに利用する為に
式神のAを捉えても良い筈。
仮に殺す為に狙われているとしても、
どちらにせよAは危険な立ち位置。
「君も恵も、さっきまでの記憶を綺麗に消されてる。
となると、敵は相当慎重な奴。
恵に聞いたけど、その呪詛師と話したのは
何となく覚えてる?」
言われてみればそうだとしか言えない、
Aはぎこちなく頷いてみせた。
「A、正直な所 僕はね、
君を高専から追い出す事に賛成しない。
高専にいれば、僕がAを守れるし
ここの方が安全だよ。
後は…これは僕の私情だけど、
狙われる関係なしに、Aには
ここにいて欲しいって気持ちがあるけどね
だから、明日の面談が不合格になっても
僕から学長に……_____」
五条の言葉もまた、嬉しかった。
私情でここにいて欲しい、
その言葉は嘘ではないのだろう。
「守ってもらはなくても大丈夫ですよ、"五条さん"」
「!」
「狙ってくるなら上等です。
狙われるなんてこれが初めてじゃないですし…
それに、こっちは狙われ慣れてるんですから」
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作者名:結祈華 | 作成日時:2022年12月21日 15時