47.覚えていない ページ47
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「黒、い…長い髪、で…
額に、縫い目のような傷、跡……」
「………A?」
「多分、忘れちゃう、から……あと、は…___」
_____五条袈裟の格好をした男。
それを最後に再びAの目は閉じてしまった
何度か声をかけてみるものの、起きる様子はない。
側で倒れる伏黒も同様で、
2人をはやく診てもらわなければならない。
Aが言っていたのは男…呪詛師か?
五条は頭で色々考えるも、
一つの単語にある男の顔が過ってしまった。
五条袈裟、Aはそう言った。
自分の知る人物の中で
唯一一人だけ、その格好をした男がいた。
だが彼は…_____
「(……あるわけないよな)」
死人が生き返る、なんて。
二重の帳、Aが言っていた男の容姿、
色々重なる点はあるものの、
五条は急いで2人を高専に運んだ。
呪詛師絡みならば、病院よりも念の為
"家入硝子"に診てもらった方が良い。
Aの場合は特に。
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重い瞼を上にあげ、目を開けてみれば、
消毒の匂いと白い天井が視界に広がる。
頭が痛い、体が重い、
目と顔を軽く動かしながら周囲を見回してみれば、
そこにはアイマスクの五条が座っていた。
どうやら自分は現在、ベッドで眠っていて
側に五条がついていてくれたようだ。
「A!気が付いた?大丈夫?」
「五条、彼女は怪我人なんだ。
いきなり食い気味で質問しないでやれ」
Aの顔は目がトロンとしていて、
まるで頭が回っていないような顔に
五条は"ごめんね"と言い、隣の家入はため息をついて
席を外すと出て行った。
これまでの事を簡単に五条に説明されると
突然彼は質問をしてきた。
「ねぇ、A…君はどこまで覚えてる?」
「……えっと、伏黒くんと任務に行って…」
「………………」
「………?あ、の?」
「あー、ううん。ごめん、続けて?」
Aの口から伏黒の名前を聞いたのは初めてだ。
任務に行ってから2人の間に何があったのか、
少しだけモヤツク気持ちを振り払い、
五条は続きの言葉を待った。
「伏黒くんが報告に出ていた
準2級呪霊を祓って、その後私が怒られて…」
「……え?恵に?怒られた?何でAが?
どうして怒られたの?
言って!僕から叱っておくから!」
「あ、いえ…大丈夫、です。大した事では…」
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作者名:結祈華 | 作成日時:2022年12月21日 15時