43.笑顔 ページ43
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「……ずっと、人になりたかったんです」
「……」
「両親からも 貴方は人間じゃないと言われてきました」
「……それは、オマエが忘れてるだけなんじゃないか？
そう覚えてるもんでもないだろ」
「残念ながら、私はキミみたいな普通の人間じゃない。
君達が覚えていないような
小さい子供の頃の記憶も私は覚えているんです。
だから、そう言ってもらえたのは
とても嬉しくて、初めてで……_____」
伏黒と目を合わせ、Aは優しく微笑んだ。
その笑った表情に、
伏黒が思わず目を惹きつけられていた。
「だから、ありがとう…_____伏黒くん」
真っ直ぐな顔と言葉に
ドクンと伏黒の心臓が音を立てた。
何だか恥ずかしい気がして目を逸らす伏黒。
そんな伏黒を見ても変わらずAは笑っていた。
「…明日の面談、少し怖くなくなった」
「………面談、怖かったんだな」
「それは……うん、当たり前だよ」
だって不合格になる予感しかしないから、
そう後付けして言ったAは
"分からない"と言っていたけれどそれを認めた。
分からないじゃなくて、怖くて不安なんだ。
「言いたい事見つけたから
明日はそれを学長さんにぶつける事にする」
「…………………多分、大丈夫だ」
「え？」
「お前の今の顔見たら分かる
……不合格になんてならねえよ」
伏黒にそう言われ、益々 明日への勇気が湧いてきた。
五条が言っていたように、
明日の面談のヒントが見つかるって…本当だった。
「伏黒くんはさ、優しいね」
「っ、は？」
不意にAから放たれた言葉に
反応を見失い、口を開けた伏黒。
先程までいた…というよりも、
これまでの彼女よりも良く笑う目の前のAは、
本当にAなのか疑う程に。
半開きだった口を動かし、
眉を寄せて伏黒は困ったように言った。
「どこがだよ。俺は優しくなんかない…
……………………おい、どうした_____？」
突然と、Aの表情が変わった。
優しく笑っていた彼女は突然、
何かに気付いたように目を見開き
自分を睨むような顔に変わった。
それも、一瞬にして。
………いや、正確には
自分の後ろを睨むような顔に変化した。
彼女の変化を見て、
伏黒も気づいたことがある。
自分の背後に何かいる_____
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作者名：結祈華
| 作成日時：2022年12月21日 15時
