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5.ピンクの髪 ページ5






「な、大丈夫か?」









パチリと目が合った。




どうやら自分は
先程叫んでいた、このピンク色の髪の毛の彼に
今こうして抱き抱えられているようだ。


地面を擦ったような音がしたのも、
彼がトラックから自分を守る為に
滑り込んだ音だったのだろう。




猫の状態では言葉を出せないAは
ニャァと声を漏らし、
心配そうに覗き込んでいた彼は優しく笑みを浮かべた。









「どこも怪我ないみたいで安心した。
でも、危ねえから飛び出したりすんなよ?」









子供扱いのような…
いや、ペット扱いというべきか。


子供に言い聞かせるような優しい声で言うと
彼はそのままAの頭を"よすよす"と大きな手で撫でた




気持ち良い……けど…
……う、何かくすぐったい気もする。




撫でられるAは彼の手の中で少しもがく。


そういえば、猫の状態で
誰かに撫でられるのなんて、いつぶりだろうか


彼は撫でる手を止め、Aの首から垂れる
帯の部分を手で掬った。









「……これ…リボン?
猫…にしては、珍しい感じだな

でも、何か可愛いな オマエ」









ニカッと笑った彼は
また強くAの頭を撫でた。


不覚にも真っ直ぐ、
こんな近い距離でそう言われてしまえば
内心取り乱してしまう。


おまえの飼い主はどこだ、と
彼が辺りを見回したところで
Aは少し暴れて彼の手から離れた。









「おっ。悪ぃ、今の抱え方嫌だったか?」









申し訳なさそうにする彼を見て、
Aはそうではないと一鳴きしてみせた。


まあ、伝わらないだろうが。









「よく見ると首輪してねえな。
こういう綺麗そうな猫が野良猫とか珍しくね?
もしかしてオマエ…………………捨てられた?」









なんだろう、ものすごく違うけど
こちらまで悲しくなってくる。


そんな目で見るんじゃない。


Aは少し眉を寄せるが、
それに気づかない目の前の彼は心配の表情を見せる。









「オマエ、守ってくれる人いねえのか…」









守って、くれる人………?




Aはその言葉にドクンと心臓が鳴る。


彼は至って真面目にこちらを見ていて、
何かを悩んでいる様子。


そんな彼が何か言おうと口を開きかけた時、









「おーい!虎杖!早くしろ!!」




「何やってんだよ、虎杖!」




「あ、先輩!ちょっと待ってて下さい!」









彼が誰かに呼ばれていた。


Aは彼とその先輩のやりとりを見た後、歩き出す。

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作者名:結祈華 | 作成日時:2022年12月21日 15時

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