【呪術廻戦】マガイモノ (ページ27)

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27.ひとりページ27

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今の自分が思っている事を
分かっているかのように丸々口にするのだ。

…いや、分かってはいないんだ。

これは、乙骨が1年前に感じていた事…
Aが感じている事を、
本当に乙骨も感じていた、ただそれだけ。

紡ごうとしていた言葉が全部スッ飛んだ。

それだけ、乙骨の言葉に…
人の言葉に興味を惹かれたのはいつぶりか。

大抵は興味もないし、
サラッと受け流すくらいしていたのに
乙骨の話には…乙骨という人に興味を惹かれた

乙骨は話してくれた。

高専に来る前の事と来た後の事、
幼馴染の里香ちゃんの事……

何故自分なんかに
話してくれたのかは分からない。

手懐ける為に話したのか、
でも手懐ける理由が思い浮かばない。

また、人では無い自分に何かを思ったのか。

分からない事だらけだが、
Aの中に何かが芽生えた。

近寄り難いと思っていた彼だが…
話を聞く前よりは近寄り難くなくなった。

「僕と同じ目をしてたから…
白神さんのこと放っておけなくて…
このままじゃ駄目だって思ったんだ」

あ、迷惑だったらごめんね？

後付けされた言葉を言った
彼の表情は震えていた。

話しかけてくれること自体
勇気を必要としたのかも知れない。

彼はきっと、自分から誰かの手を引くような
そんなタイプではない筈だから。

「ねぇ、白神さん……
誰かと関わる事に怖がっちゃ駄目だよ」

「……別に、怖がってなんか……私は…_____」

「けど、1人は寂しいよ？」

僕なら分かる、同じ目をしてたから。

その発言に、何も答えられなかった。

思わず彼の目から逃げたくなるが、逃げられない。

「怖がるとか、寂しいとか…どうでもいいです。
私は死刑が決まってるんです」

乙骨に言った。

ここに入学できなければ、
自分に待っているのは死だと。

分かっていたはずが…
知っていたはずがないのに、
彼は表情に変化を見せず、ジッと見つめてくる

でもその場合、入学出来なかったら…だよね？
合格する可能性もあるんだから
まだ決まったわけじゃないじゃないか。

乙骨はAにそう言った。

そして、更に言葉を紡いでくる。

「本気で死にたい、なんて思ってないよね？」

　

『君自身はどう思ってるの？
君自身は……死にたいって、思ってるの？』

　

乙骨の言葉に、以前
五条にも言われた同じ言葉が蘇る。