24.転校生 ページ24
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「まあ落ち着け、真希。
悟がそういう言い方したって事は、
何が何でも入学させるつもりなんだろ」
「しゃけ」
真希を宥めようと"パンダ"が口を開き、
その言葉に"狗巻棘"が頷いた。
「正解!よく分かったね」
「何でもいいけどよ、コネで入学とかだったら
マジでシカトこいてやる」
「訳ありタイプっぽいな。
憂太みたいな奴だったりして」
「オイオイ…勘弁してくれよ。
コイツが2人もいる学校なんて嫌だぞ」
なんだろう、心が痛い…
その会話に愛想笑いしかできない乙骨。
言葉なんて何も返せない。
けれど、どちらにせよ五条が紹介するのが
どんな人物なのか…皆興味はあった。
「ささっ!あんまり待たせると
彼女、緊張しちゃうから もう呼ぶね。
結構シャイな子だからね。優しくしてあげて」
女なのか。
言葉で理解すると五条は扉越しに
"入っといでー"と声を上げた。
扉の向こうに誰がいるのか、2年は皆扉に注目。
「………逃げようとか考えるなよ」
「…思ってたらここに立ってません。
監視発言はちょっと…やめて下さい」
「だったら早く入れ。
俺だって別にオマエを監視したいわけじゃない」
扉越しにAと伏黒は軽く言い合い、
息を吐くとAは扉を開け教室へ足を踏み入れた。
背は低め、女、真っ白い髪、そして…_____
バッ
_____とてつもない気配。
それぞれ椅子に座っていた彼らは立ち上がり、
素早い動きで戦闘体勢。
そして、Aを取り囲む。
「え、ちょっと皆!」
「憂太は黙ってろ」
その2年の中で唯一、乙骨だけは動かなかった
部屋に入ってきた女を取り囲む3人、
その内の真希が強く言う。
「アンタ、何者だ?」
取り囲まれる中、後ろで伏黒は驚くものの
Aは至って冷静に2年の顔を見ていた。
……まあ、この扱いが普通か。
Aがそう思う中、乙骨は
2度目のデジャヴを感じていた。
立場こそ違えど、この現場は
自分が高専に来ていた時…
歓迎されていない時とよく似ていた。
「それは、
皆さんが分かっていらっしゃるんじゃないでしょうか。
私は今まさに
皆さんに殺気を向けられている通りの呪いです」
鋭く眉を寄せる3人。
その手に力が入った時、
見ているだけの筈だった五条は流石に口を開いた。
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作者名:結祈華 | 作成日時:2022年12月21日 15時