20.一面 ページ20
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五条はこの男、伏黒恵にある程度
白神A…彼女のことを話した。
彼女は真っ白な猫の姿になれる、
自分自身を人ではないと言って、
見れば誰でも分かる、感じるように、
式神の気配を感じる…
いや、呪霊と言われても納得が言ってしまう。
式神か呪霊か、はたまたそれは…_____
その答えは、どう感じるかは
自分で見つけろと五条は言った。
そして、
「(……いた)」
校舎を出てすぐ、中庭のベンチに座る彼女がいた。
見つけた後の事を
考えていなかった伏黒ではあるが、
その思考はすぐに止まった。
Aのある光景を見て。
ベンチに座るAの傍には野良猫がいた。
高専内ではあまり見ない野良猫、
珍しいなと思いつつも
伏黒はAの表情に目を奪われた。
優しく微笑むAは、猫の顎下を優しく撫でていた。
その表情は、先程
強張っていた、震えた顔とは程遠かった。
猫は気持ち良さそうに声を出して目を閉じている。
懐いているような様子を見る限り、
彼女は動物に好かれやすい体質なのか。
しばらくその光景を見ていると、
Aの表情がスッと元通りになった。
そして、目が合った。
「いつまでそこにいるんですか」
気づいていたのか。
Aが猫から手を離すと
閉じていた目を開け、伏黒の姿を見るなり
どこかに歩いて行った。
一方、Aは真っ直ぐに伏黒を見ていて
伏黒は歩き出し、座るAへと近づいて行った。
「急にどっか行くなよな。
どこにいるかわかんねぇし」
「別に、探して欲しいと 頼んでませんけど」
「……五条先生が呼んでんだよ。
先輩にも、お前を紹介するからって」
「…ああ、あの人が…」
違う、本当は自分から動いた。
あの人に言われるよりも先に、体が動いていた。
心の中でそう思う伏黒。
Aはベンチから立ち上がり、
伏黒に案内を求める。
適当に走ったAは
まだ場所も何も把握していないから
伏黒についていかなければならない。
「……お前、まさか
迷子になったからここに座ってたのか?」
「っ、な!?違います!そんなわけないです!」
失礼な人だなと思うAは
少しだけ顔を赤らめて勢いよく反論した。
その様子を見るからに、
図星だなと伏黒は見抜く。
逃げた挙句、気づいたら
知らない場所で戻ろうにも戻れなかった、
というところだろうか。
まあ、何でも良い。
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作者名:結祈華 | 作成日時:2022年12月21日 15時