【呪術廻戦】マガイモノ (ページ13)

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13.人とは違うページ13

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五条は持っていた袋をガサガサと漁ると、
その中から駅で買った駅弁を取り出した。

「じゃーん!!
仙台の駅弁といえばこれ、牛たん駅弁！！
Aの分もちゃぁんと僕が買ってあげたから食べよー！
いやー、僕ってばやっぱり気が効くナイスガイだね」

いくら仙台出身とはいえ、
駅弁なんてものはそうそう食べる事ないだろう

五条は明るい声を発しながら、
割り箸と弁当をセットに
隣に座るAへそれを差し出す。

窓の外を見ていたAは少し面倒そうに五条を見た。

「……私は、いいです。
五条さん、私に気を遣わずに食べてていいですよ」

「えー、そんな事言わずに、さ？」

「私は食べなくても死にませんよ。人じゃないので」

人じゃないと、またAはそう言い出した。

癖のように、自分に言い聞かせるように、
そう言うたびにこちらまで悲しくなってくる。

「私は…別に、食べなくても死にません。

五条さんのように、人間という生き物は
食べなければ死にます。

けど私の場合、食べる事に義務なんてないので
五条さんが食べて下さいよ」

「って言ってもね…２つあるんだし、
せっかく買ったんだから食べようよ。

それに、食べなくても良いとは言っても
A、お腹は空くんでしょ？」

貴方なら2人前も簡単に食べちゃいそうですけど、と
心の中で感じていたA。

その時、タイミングが良いのか悪いのか
五条がそう言った後に
Aのお腹が微かになるような音がした。

Aは少し気まずそうに目を逸らし、五条は笑った。

ぎこちなくAの手が、
自分の持つ弁当の方へと上がり
いただきますと小さく声にして
やっと弁当を受け取った。

割り箸で掴んだ弁当の具は
熱くも冷たくもなく、程よい暖かさだった。

「その友達にも、ちゃんと言った？」

「…何の話ですか？」

「東京に行くよって話。

何回も言ったけどさ、急すぎない？
友達だって戸惑ってたでしょ？」

「あなたこそ、急すぎましたけどね」

Aは、はぁっと一度息を吐くと
箸を持ったままの手を下ろし、下を俯いて口を開く。

「……人は、すぐ忘れます」

冷たい声色でAがそう呟いた。

五条は何も言わず、ただAの次の言葉を待った。