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友達と別れた後、路地に入ったAが
猫の姿を変えて呪霊を祓う姿を見た。


子猫の姿で首からはリボンのような帯が2本
ヒラヒラと靡いている。


その帯に纏う呪力を見て、
それを使って呪霊を祓っているのに気付く五条




報告によれば、ここ辺りの近辺は
圧倒的に呪霊による被害が少ない。


その理由が分かった。


この子が…彼女が呪霊を祓っていたのだ。




逃げ惑う彼女を余裕で追いかけ話をしてみると
彼女は殺されなきゃいけない存在だと言った。


その言葉は、生きてちゃいけないと
以前言っていた"乙骨憂太"を少し思い出させた。









「ところでさ、良かったの?
昨日の今日だよ?
仙台から東京に移動するって大きな事だし、
もっと日を跨いでも…」




「別に、構いません。それに、貴方が言ったんですよ。
なるべく早い方がいいと」




「……ま、早いに越したことはないけどね」









駅の改札口、ホームと歩き
止まった新幹線に乗り込む2人。


平日、お昼前という事もあり
この時間に新幹線に乗る人は少ない。


五条は手に持つ2枚のチケットを見ながら
座席まで歩き、2人は座った。




昨日言ったように、Aは今日、東京へ行くと言った。


昨日の今日だ、色々準備もあるはずだろうに。


Aは五条に手続きなど どうとでもなると言った。


ずっと1人で住んでいた家や学校への転校届け…
そんなもの、どうとでもなると。




子供の時、両親を亡くしたAはずっと1人だった。


1人で、一般人や呪術師達を掻い潜り
何とか一人暮らしをしていた。


人ではない彼女は、
普通の人のように食事など厳守ではないし
暮らすのに苦労は要らなかった。









「ところで、何でわざわざ隣に座るんですか?
監視ですか?」









当たり前のように隣に座った自分を
Aは監視かと言いながら睨みつけた。


すぐにこの子は監視などと
マイナスな事を考えるなと思う。


…頭が良いのか冷静なのか、
どちらにせよ馬鹿ではないと分かる。










「そんな監視なんかする必要もないししないよ
僕は君と話したいだけなのにさ、A」




「…気になってはいましたが、
名前も呼び捨てで…」




「ん?嫌なの?君は
友達からだって、そう呼ばれてたじゃない」




「……別に」









Aは自分から窓の外へと目を向けて、
その瞳には色なんて無かった。


そして、新幹線は動き出す。

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作者名:結祈華 | 作成日時:2022年12月21日 15時

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