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rumor,81.5 ページ44

曲がり角を曲がれば、
そこには自分より歳上の男が2人いて
その間には…









「(ッ、は?)」









自分が会いたがっていた、雪村の姿があった。


彼女は傘なんてさしておらず ずぶ濡れで…
制服のジャケットの隙間から
ワイシャツが透けているのが分かる。


あれでは誰が見たって、
自分をお持ち帰りしてくださいって
言ってるよう。


下心のある男らに、声をかけられているんだ。


千冬が一歩足を踏み出した時、
1人の男の手が雪村の腕を掴んだ。


雪村はボーッとしていて、
抵抗する素振りなんて全く見せない。


千冬はそれに怒った。









「オイ、おまえら…何やってんだ

そいつから手離せよ」









我ながら、かなり低い声が出た。


明らかにその声は、
千冬が怒っていることを証明していた。









「そいつ、オレのだから…
触ってんじゃねぇよ」









威嚇すれば、男達は舌打ちをして
そのままどこかに歩いて行った。









「(…って、何言ってんだ、オレ!!?
オレのだからって何?はっっっず)」









顔には出さないものの、
千冬は羞恥心でいっぱいだった。


でも、雪村の姿を見て
すぐに落ち着きを取り戻せた。









「ッ、おまえ…何やってんの、バカ」









雪村に近づくなり、
まず始めに怒りの言葉が出た。


出会った時も、
まずこんな風に怒っていたっけ…
なんて考えながら

千冬は自分の学ランを脱ぐと
それを雪村の肩にかけた。


制服が濡れる?関係ない、
雪村はもっと濡れてるんだ。


そのまま傘を傾けて、雪村を傘にいれる。


雪村の体は微かに震えていて、
雨で濡れた顔には涙が溢れてるように見えた。









「…泣いてんの?」




「…泣いてない。雨で濡れてるだけ」




「嘘だな」




「ッ、お願い…もう、優しくしないで…
ほっといてよ、もう…」









雪村はそのまま
その場に座り込んでしまい、顔を埋めた。


千冬は同じように座り込むと
変わらず傘を差し続ける。









「(何が、あったんだよ…)」









好きな奴のそんな顔、見たくない。


聞きたい衝動に駆られたが、今は違う。


無理して聞く必要なんて無くて、
今はただ、雪村の傍にいるべきだと思った。

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結祈華(プロフ) - くりすさん» コメントありがとうございます!良すぎますか!!?嬉しいです!!w千冬オチも作ろうかなとか考えたりしちゃってたり…((楽しみに待って頂けたら嬉しいです!これからも宜しくお願い致します! (2021年9月6日 1時) (レス) id: c15c2ccbb8 (このIDを非表示/違反報告)
結祈華(プロフ) - がーべらさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けるのは嬉しすぎます!マイキーくんも千冬も良いですよね!!オチは2人作ろうかなとか悩んじゃってます((これからも宜しくお願い致します! (2021年9月6日 1時) (レス) id: c15c2ccbb8 (このIDを非表示/違反報告)
くりす(プロフ) - 千冬良すぎますねwこれは千冬落ちバージョンもみたい位続きが楽しみすぎますぅぅ (2021年9月6日 1時) (レス) id: 6dab28c1fc (このIDを非表示/違反報告)
がーべら(プロフ) - 小説の流れがすごい好みすぎて、読めば読むほど味が出て、いつも更新を待ってます!!マイキーも千冬も大好きなので、どちらのおちも見てみたい!!素敵な小説待ってます♪ (2021年9月6日 0時) (レス) id: 55cfc2b408 (このIDを非表示/違反報告)
結祈華(プロフ) - 春風駘蕩さん» ごりせめの千冬くんでございますッ!!!!!書きながら、千冬オチもありかなと考えたり…((コメントありがとうございます! (2021年9月5日 22時) (レス) id: c15c2ccbb8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:結祈華 | 作成日時:2021年8月25日 23時

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