それ、わたしじゃないです。２【佐野万次郎】

rumor,55 ページ11

「オレ、動物と話せるから…！」




「はっ!?え!?マジ!?ヤバくない、それは」




「ような気がする！」




「気持ちだけかい」









…でも、金髪くんの笑顔は何だか可愛くて…
可愛くて、直視するのが恥ずかしく
私は目を逸らした。









「…猫、好きなんだ」




「あー…動物は好きだな、猫飼ってる」




「！猫…ちょっと羨ましいな…」




「？」




「私の家も猫飼ってたんだけど、

去年 家から出ちゃった時に
車に轢かれちゃったみたいで…死んじゃった」




「！」




「あんな悲しいの、もう嫌で…
動物飼うの、怖いんだ…ちょっと」









さっきの子猫が走っていった方角を見ながら
昔を思い出していた。


こんなこと、金髪くんに言ったって
意味ないのに。


変なこと話しちゃってごめんね、
そう私が言うと 金髪くんは何だか
悲しそうな顔をしていた。









「…え、…キミが何でそんな顔するの？」




「……無理に笑うなよ。
飼い猫が死ぬって、辛いに決まってんのに」




「……辛いけど、もう去年のことだし…」









でも、ちょっと嬉しかった。


自分のペットの話をして
他人なのにここまで相手が
悲しんでくれたのは、初めてだった。


飼い猫(クーちゃん)も
きっと天国で、喜んでるかもね。









「優しいんだね、キミ」




「…別に、優しいとかじゃねぇよ」




「……………あれ？」




「？どうした？」









金髪くんの格好に、今 気が付いた。


暗い夜で分かりにくいが、

彼が着ている服は真っ黒の
特攻服って言われるモノで
その服には"卍"という刺繍があった。


卍で思い付いたのは、"東卍"のことで…









「…もしかしてキミ、東卍の、人？」




「…おう、オレは東京卍會 壱番隊副隊長!!」









うわ…何か結構すごい人だった気がする。


副隊長って、何か凄いんでしょ!!?


でも、少し言い淀んだのは…何だ？









「そっか！
じゃあ、これから…集会ってやつ？」




「？ああ…つーか、何で知ってんだ？」




「実は、私 今日そこに呼ばれてるの」




「は？誰に」




「佐野」









淡々と答えてみせた私に
金髪くんは驚いた顔を見せた。


…まぁ、佐野って名前出されたら驚くか

何てったって、キミらの総長様なんだよね

あんなやつだけど…

rumor,56→←rumor,54

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す