男勝りなあいつの"女"を見た瞬間２【松野千冬】

51.他の人のお母さん ページ4

もはや、神崎は
母親に洗脳に近い状態にされていた。


ずっと母親の言いなりで、
人形のように暮らしていた神崎。


そのストレスに不良で喧嘩ばっかやって、
放課後は大好きな女の子らしいことして…

それすらも、母には全否定された。









「(…もう、分かんない…どうすればいいの？
…_____助けてよ、千冬)」









気持ちを否定された千冬に対して、殴られて、
怒っているはずなのに
どうして助けを求めたくなる相手は千冬なのか









　









ｺﾝｺﾝ









　









その時、部屋の扉がノックされて扉が開いた。


千冬かなと思っていた神崎だが
そこに立っていたのは女の人で…









「あら？目が覚めたのね!!」









救急箱とタオルを持つ女性は
千冬の母親だと名乗った。


挨拶しようとベッドから降りようとすれば
"まだ起きちゃ駄目"だと止められる。


母親はベッドにいる神崎に近づいて来た。









「包帯張り替えましょ。
ちょっと体に触るわね」




「その…すみません」




「いいのよ。千冬がまさか、
女の子連れてくるなんてビックリだから

ほらあの子、ちょっと漫画とかで
妄想しちゃう変な子だから
彼女の1人もいたことないし」




「へ？…いえ、あの…私彼女では…」




「え!?そうだったの？
……でも千冬、あなたのこと
必死だったのよ」




「え？」




「ボロボロなあなたを抱えて
家に飛び込んで来て私に
"見てやってくれ"なんて言うものだから…」









千冬の母親から、
今までの状況を教えられた。


どうやら自分は、昨日の夜から
今日の夕方頃まで、ずっと眠っていたとか。


千冬は学校まで休んで
ずっと自分についていてくれたこととか。


なぜか、そう話す時の母親は
楽しそうに笑っていた。









「(…笑った顔、千冬にそっくりだな…)」




「…あら？ここ、赤くなって…」









包帯を張り替えていた母の手が
神崎の左頬を見て手が止まる。









「あー、えっと、これは……」




「…もしかして千冬(あの子)が殴った？」




「！ち、違!!」




「はぁ…通りで様子がおかしかったのね。
頭冷やすって言ってあの子、家出てってね」









千冬は悪くないから、庇おうとしたが
どうやら彼女にはお見通しで
すぐに見破られてしまった。


優しい手で処置されて、
母親の手はこんなにも温かいもの
なのだろうかと不思議な感覚がした。

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