それ、わたしじゃないです。【佐野万次郎】 (ページ10)

今日:53 hit、昨日:6 hit、合計:910,522 hit

rumor,08 ページ10

・

「はあ"ぁぁぁぁぁぁぁぁ…」

「盛大なため息だね」

佐野クンには意味も分からなく振られ、
授業には遅刻で教師に怒られ、
今は給食の時間。

机に置かれたお盆の横で
私は盛大にため息をついて机に倒れた。

そこに明那がやってきて
私を見下ろすように隣に立った。

「何があったの？
トイレからは戻って来ないし
授業は遅刻するし…」

「明那ァ……
私の精神メンタルはもうゼロだよ」

「はいはい…じゃあ
今日の給食のプリン、私の分あげるよ
これでどう？」

「………」

「うわ、食いつかない…
いつものAじゃない」

いつもの私なら、絶対に
デザートにプリンなんかついていたら
明那の分を欲しがっていた。

でも…違うの、今じゃないんだよ、明那…

プリン、確かに食べたいけれども…！

「ねぇ…ほんと、何があったの？」

「……佐野クンに会いました」

「えっ、佐野に!?…は!?」

どうやら明那も予想外だったみたいで
かなり驚いていた。

そりゃそうだわな。

「私が佐野クン好きだって噂、
あの人の耳に入って……」

「何というタイミングの悪さ、
今まで耳に入らなかったのがおかしいわ」

「そんでもって、振られた」

「…………」

「…明那？」

「ぷ、あはははははっ」

私がどんな思いでいたかも知らず、
明那は大爆笑した。

いや、笑うとこじゃない。

「ッ、笑うなあああっ」

「だって…ふはっ…
告ってもないのに振られるのは…笑える…ッ」

「あ"ーきーな"ーァ？
人の気も知らずに…ッ」

「ッ、ごめんごめんって…！」

「勝手に好きだって勘違いされて
勝手に振られる…、笑えないよ！

良い気分な人なんていない!!

好きじゃない相手だったけど
やっぱ複雑！最悪!!」

「まあまあ、落ち着きなさいや

とりあえず、振られたんなら
これ以上佐野がAと関わることはない。

Aが佐野を好きって噂も消える、

ハッピーじゃん」

「その代わりに、私が佐野クンに
振られたって噂が流れたらどうしよ」

「あー、それはありえるかも」

明那の言葉に私はまた机に倒れる。

どうやら私のメンタルは
しばらく復活しそうにない。