それ、わたしじゃないです。【佐野万次郎】

rumor,39.5 ページ50

(no side)









_____西条 唯、ね……使えそうじゃん。









『話してあげてよ…
唯さん、良い子だから、すごく』









雪村の口から、何度も出る名前…
それは、"西条唯"。


彼女はどうやら自分と同じクラスらしい、と
佐野は最近知った。


クラスメイトの顔と名前なんて、
全部覚えられるわけがない。


その女を知るに至った経緯も、
雪村が言うから覚えたわけで。









「なぁ、おまえ……西条唯？」









教室で、初めて彼女に話しかけた。


ピクッと肩を跳ね上げて、
驚いたようにこちらを見上げる西条。


大きく開いた瞳が、佐野を映す。


容姿端麗、学校1のモテ女…
なんてレッテルを貼られている西条。


確かに、そう言われるほどに
可愛いという分類に入るのかもしれないと
佐野ですら思った。









「ねぇ、佐野くんが西条さんと話してる!?」




「あの2人、お似合いだよねーっ」









モテ女と呼ばれる西条、
モテ男の佐野、2人の姿は
クラスにいる人達から見れば、
絵のようなお似合いさだった。


クラス中の視線が
自分と西条に向いているのを感じて
佐野は密かに口角を上げた。









「(ふーん…お似合い、ね
でもさ……勝手に決めんなよ、おまえら…)」









　









_____オレが欲しいのは、Aだけだから


その為にオレは、何だって利用する。









　









「オレ、佐野万次郎」




「う、ん…知ってる、よ…？佐野くん」




「ねぇ、唯」









…オレ、この顔知ってる…

名前呼ばれただけで顔赤くしちゃってさー…

おまえ、オレの事好きなんだ

やっぱ、使えるじゃん









「ッ、ど、うしたの？」




「オレの良き理解者(ダチ)になってよ」




「へ___？」









おまえはオレに、利用されてね…♡

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