それ、わたしじゃないです。【佐野万次郎】 (ページ46)

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唯さんの教室にぎこちなく私は
彼女の後に続いて入った。

教室を見渡せば何人かの生徒がいて、
まだ朝早いのに
意外に登校してる人いるんだなと思った。

「唯さん、いつも朝早いんだね」

「うん…
電車で通ってるんだけど
時間的に、今くらいのしかなくて…」

この次の電車だと、
学校に到着するのがギリギリらしくて
少し早めの電車で、今くらいの時間で
毎日登校してるらしい。

偉いなー…

「Aさんはいつもこの時間じゃないの？」

「私は今日早く起きちゃって…
2度寝したら遅刻すると思ったから
早めに学校来て、寝ようかなって」

「え、あ…じゃあ、寝る？」

「ううん、唯さんとお話ししたいし
寝るわけない!!」

「ふふっ、良かった」

唯さんが着いた席は窓際の席、

お！私も窓際の席なんだよねーっ

その周りの席の人は
まだ誰も登校してないようで、

何となく私は唯さんの席がある
後ろの席を借りて座った。

「え」

「え？…あ、何か駄目だった、この席」

「！ううん、違うよ、大丈夫!!」

「…そ、そう？」

席に座る時、唯さんの様子がおかしくて

私が別の席に座ろうとすれば
ここで良いよ、話しやすいから
なんて全力で止められた。

……この席に、何かあるのか。

そんな事を思っていると、
目の前には頬杖をついて
笑顔を浮かべる唯さんがいて…

かわいい、いいな、好きって思っちゃった

唯さんとクラスが同じだったら
こんな感じだったのかな…

「それで？Aさん、どうしたの？」

「！聞いてください！唯さん!!」

私は唯さんに話していた。

朝登校してみれば、
自分がいない教室で自分の噂をされていた事。

私と佐野が最近仲が良いと、
付き合ってるのかな、羨ましいなと、

唯さんが聞いたら傷つくに決まっているのに
私は唯さんの優しい顔に甘えてしまっていた

「こんな話されても、嫌だよね」

「え？どうして？」

「え？…いや、だって

自分の好きな相手が
他の女と噂になってるんだよ!?

誰だって嫌でしょ、こんなの…」

「うーん…そうだけど…

Aさんが好意で流してる
噂じゃないって分かってるから

私がAさんを責める理由は
どこにもないよ」

…いや、唯さんほんと、心が綺麗すぎん？

優しすぎん？可愛すぎん？ほんと