それ、わたしじゃないです。【佐野万次郎】 (ページ27)

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rumor,23 ページ27

自分の口角が上がるのが分かる、
女子の方を見ながら舌舐めずりをしたマイキー

「(へぇ……欲しくなっちゃった♡)」

後、自分と同じ学校学年である事
その子の名前が
"雪村A"ということを知った。

　

　

・

　

　

「んなことで!?ちっさ、おま、ちっさ!!」

マイキーからの話を聞いたドラケンは
少し引いた目でマイキーを見た。

惚れた…その本気な気持ちは伝わってきたが
小さい、あまりにも理由が小さすぎる。

思わず笑ってしまいそうになったが
マイキーの睨みでドラケンは押さえた。

「いくらケンチンでも、
その言葉、オレを侮辱してんのと同じだよ」

「……つーか、あの子
おまえの事スゲー嫌ってたじゃねぇか」

「今はそれで良いんだよ…
これから好きにさせんだから♡」

変わらず、楽しそうに笑うマイキー…

何も言わず、ドラケンはただマイキーを見て
言葉なんて出てこない。

「…中1の頃から目付けてて
何で今になって動いたんだ？」

「……噂、聞いたからだよ」

利用できる、そんな噂を______

　

　

　

『ねぇ、唯ちゃん
佐野くんのこと好きなんだって!!』

放課後、女子達が
そんな話をしているのを聞いた。

気付いたら、そっちに足が動いてて

「ねぇ、その名前…
"雪村A"って子の名前に変えておいて」

「え!?さ、佐野くん!?」

「ゆ、雪村さんって…隣のクラスの？」

「ね、お願い♡」

"え"と戸惑う彼女達に
オレはニコッと笑ってみせる。

笑えば、彼女達は頬を赤らめて
"はい"なんて言ってくれる。

…ほら、こうすれば
噂なんてオレにとって変えることなんて
簡単なんだよ。

『ねぇ、Aちゃん
佐野くんのこと好きなんだって!!』

次に学校に来てみれば、
もうその噂は広まってて…早いな
なんてテンションが上がる。

それでオレはAちゃん呼び出して
自分からあの子を振った。

にしても、スゲー戸惑ってたなAちゃん

まずは振らないと、印象付けられないから。

あの子にとって、オレは最低だって
強い印象をつけることで

あの子の中で
オレという人間を大きくする。