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伏黒は禪院との話を止め、ゆっくりと

自分の名前を呼んだ者の方へ振り返った。




階段の上に立っていた、彼女の姿を見て

伏黒は目を見開く。




…言葉よりも先に、自分の体が動いていた。




階段を上がって行って、彼女のいる方へ______









貴方「恵______」









ギュッと、伏黒はAを抱きしめていた。




伏黒の匂いが、暖かさが Aを包む。




その感覚に安心して、思わずAは

伏黒の背中に腕を回していた。




その行為に伏黒は更に驚く。









貴方「…ごめんね、恵…

起きるの遅くなっちゃった…」




伏黒「………ほんとだ。

"眠り姫" 卒業してなかったのか?」




貴方「私としては、"3日で起きるのは

早い"方だと思ったんだけど…」




伏黒「馬鹿…」




貴方「………五条先生にも怒られちゃったんだよ」









伏黒はAから離れ、

今度はちゃんと Aの顔を真っ直ぐに見た。









伏黒「………最初は俺がよかった」




貴方「え?」




伏黒「お前が目を覚まして、

1番に見る顔は、俺であって欲しかった」









伏黒は少し、ムスッとしていて

複雑な表情を見せた。









貴方「………私、もう眠らないから」




伏黒「…は?」




貴方「透桜煙と話したの。

もう眠らないし、透桜煙と一緒に生きていく」




伏黒「……………お前、また勝手に______」




貴方「恵が心配してくれてるのはよく分かってる

…でもね______もう、そう生きていくしかないの」




伏黒「……」









透桜煙は優しいんだ、そう言うA。




けれど、その瞳の奥深く

少し 悲しい色がチラッと伏黒には見えた。









伏黒「(……こいつはこいつで色々考えて…___)」




貴方「死ねない理由も増えたし…私はもう、大丈夫」




伏黒「……」









Aの頭に伏黒はゆっくりと手を乗せ、

少し乱暴に撫でた。









 









 









 









禪院「おーい、恵ー!!」









突然と呼ばれた禪院の声に

伏黒とAは振り返った。

・→←72.再会



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作者名:結祈華 | 作成日時:2021年1月6日 0時

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