32. 今度は私の番 ページ32
〜no side 〜
Aはゆっくりと目を開ける。
「起きたか?」
貴方「……え」
上から聞こえる声にAは顔を上げる。
そこにはアーサーの顔があった。
Aはそのとき、自分の態勢に気づいた。
自分はアーサーの肩に頭を預けて寝ていたと。
貴方「っ!?ごめんなさい_____」
Aは素早く頭を肩から退かす。
アーサー「眠れたか?」
貴方「え?…!」
"眠れたか"。
その質問は、まるで自分が寝れていないのを
知っているように聞こえた。
でも確かに、Aは眠れていた。
少なくとも、先程の気分の悪さがなかったのだ。
貴方「…大隊長から何か聞いたの?」
アーサー「…なんのことだ」
貴方「…ううん。何でもない…
眠れたかどうかだよね。眠れた…ありがとう」
アーサー「ふッ 俺は騎士王だからな。
Aが眠れなければ
いつだって肩を貸してやる」
貴方「…」
Aは膝を抱えて顔を埋める。
貴方「…ごめんね…
アーサー、眠れてないでしょ」
アーサー「俺は寝なくても平気だ。
なぜなら騎士王_____」
バサッ
Aは体勢を変えると
アーサーの頭が自分の膝に乗るように
アーサーの体を引いた。
アーサー「なっ!?」
アーサーは戸惑い、言葉が出なかった。
アーサーが見る真上には
Aが優しく笑っていた。
が、どこか悲しい顔にも見えた。
その顔のAに
アーサーは見惚れてしまっていた。
貴方「それなら 今度は私の番だね。
私の膝で良ければいつでも貸すよ」
Aのその笑顔は
アーサーに初めての感情をさせた。
アーサー「……なら俺に、
Aの昔話、聴かせてもらえる日は来るか?」
Aの顔が強張った。
貴方「……面白くないよ」
アーサー「面白さは求めてない」
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作者名:ゆいにゃー | 作成日時:2020年9月12日 2時