佰玖拾壱鬼＿＿震えたのは ページ5
＊骨喰藤四郎＊
「……？」
いつの間にか震えていた己の身体に首を傾げる。
何故、俺は震えているのだろうか……？
審神者が怖いから……？男に同情してるから……？
自分のことを思い出すから……？
……どれもしっくり来ない……
「兄弟、大丈夫？」
そんな俺を心配したのか、審神者の後ろに控え
ていた兄弟が、俺の側に寄り背中を撫でる。
「あぁ……大丈夫だ」
直ぐ側に来た温もりに、いつの間にか浅くなっ
ていた息も落ち着く。
それでも尚、背筋を這うような何かが身体の震
えを止めてくれなかった。
『なるほど……全ては退路を絶った上でのものか……』
「もうじき、演練を終えたあの子達が帰ってくる……そうしたら、貴方も私の特別に……！！」
嬉々として頬を紅潮させる審神者に、丁度良い
のか否か……演練部隊帰還の知らせが本丸中に響
き渡る。
それに審神者が待っていたとばかりに口角を上
げるが……それは当然として……
追い詰められているはずの男が、此処へ来て初
めて口角をつり上げた……。
それを目にした時、自身の震えの意味を理解した…。
……そうだ……俺は、一方的な狂気を向けられた中
でも、この本丸の現状を見ていた時も……男の目
には一つも"感情"が見えなかったのだ……。
男といると、"魂"が本能的に"逆らってはなら
ない"と執拗に訴え、怯えていたのだ……。
「待たせたな」
庭から聞こえた声に皆がそちらを向く。
「な……なんで……！」
「皆カンスト済みで強いはずじゃ……！！」
聞こえた声の先の光景に、審神者と兄弟の驚き
に満ちた声が溢れる。
……帰還したと思った己の部隊が、男の部隊に血
だらけで引きづられているんだ……
当然勝つと思っていたが故にその光景が信じら
れないのだろう……。
審神者も予想だにしていなかった事態に戸惑う
中、腰を下ろしていた男が静かに立ち上がる。
立ち上がる中で、姿を変えた男の髪が視界の中
で揺れる……。
とても美しく……目を反らすことが出来なかった……。
……嗚呼……確かに彼は"特別"だったのだ……。
男の姿に畏怖すると同時に、もっと見つめてい
たいと思ってしまうのだから……。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 227人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蓮夜 - 更新待っています。みたいです。無理せずに。応援してます。 (5月15日 2時) (
レス) @page9 id: 574d664119 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ - すごく面白かったです！！もう更新しないんですかね？面白かったので続きが見たいです！！！！！！！ (2022年12月6日 18時) (レス) @page9 id: ef650c7495 (このIDを非表示/違反報告)
akithin.(プロフ) - 更新はもうされないのでしょうか？ (2020年8月24日 23時) (レス) id: e324714dd9 (このIDを非表示/違反報告)
咲くや - 面白くて続きが気になります 更新頑張ってください。 (2019年11月28日 6時) (レス) id: 2369d330ed (このIDを非表示/違反報告)
％ - 一日でここまで読み進めました！凄く面白かったです！更新頑張ってください！ (2019年11月14日 17時) (レス) id: 02aec80553 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：朔櫻 実桜 | 作成日時：2019年10月31日 0時
