時をかける少女は夜に泣く (ページ12)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:2,097 hit

或る爆弾② ページ12

ルイスの回し蹴りによってくだけたドラム缶

ツッコミどころが満載すぎて言葉を失う敦

『敦さん。これが一番良い方法ですので、太宰が何かやらかした時には躊躇なく。

敦さんはたいへん優しい方ですが、太宰と行動を共にしていけば躊躇はなくなるでしょう』

あどけなさの残る顔に天使のような笑みを浮かべてAはぐっと顔を近づける

『いいですか？』

こてんとあざとく首をかしげて聞いてくるAにヘタレの敦が耐えられるだろうか？

…無理だ

案の定顔を赤く染め首振り人形のようにぶんぶんとうなずく

「つーかさ……なんで敦とボクたちなわけ？ほかの同僚に助けを求めなかったの？」

不満そうな面持ちのルイスが訊ねる

「求めたよ。でも私が「死にそうなのだ」と助けを請うた時なんて答えたと思う？」

「『死ねばいいじゃん/とっとと死んじまえこの仕事サボり常習犯の女たらしクソ心中男』」

「敦くんはご名答。Aちゃんは酷いっ！！」

よよよと泣く真似をする太宰を白けた目で見る女子二人

「(なんで僕が毎回仲裁役になるんだろう……)

と、ところで今日はどこへ！？」

仲裁役にも慣れてきた敦が話を変える

「うん、君に仕事を斡旋しようと思ってね」

個性的な三人に囲まれ少々疲れ気味だった敦の顔が一気に輝く

「本当ですか！？」

「伝手の心当たりがあるから先ず探偵社に行こう

任せ給えよ。我が名は太宰。

社の信頼と民草の尊敬を一身に浴する男」

『そういう妄想をしてらっしゃるんですね……』

ひどい！と反論しかけた太宰の言葉を遮ったのは

「ここに居ったかァ！！！！」

額に青筋を浮かべて激怒する国木田の声だった

「この包帯無駄遣い装置！！！！！！！！！！！！！！！！！！」

「……国木田くん今の略称はどうかと思う」

　 ((意外といいあだ名だなァ/ですねェ))

「この非常事態になにとろとろ歩いているのだ！！疾く来い！」

「朝から元気だなぁ。あんまり怒鳴ると

悪い体内物質が分泌されて、そのうち痔にかかるよ」

「嘘だよ国木田。信じるな

で、緊急事態っていうのは？」

あっけなく太宰に騙され怒りに震える国木田をこっちの世界へ引き戻す

「そうだった！探偵社に来い！！人手がいる！！」

「なんで？」

太宰への怒りも忘れ真剣な面持ちで事態を伝える

「爆弾魔が人質を連れて探偵社にこもった！！」