【刀剣乱舞】禍ツ神の本丸

厄災二つ ページ7

「此処が広間、多分皆集まってるはずだけど……」

度々立ち止まる、離れそうになる虧月を何とか

連れて広間へと続く襖へと辿り着くと、虧月と

盈月を背に振り替える。

その姿は門で会った時より若干疲れが滲み出て

いるのが否めないが……

それでもその瞳は未だ警戒の色を宿していた。

「変に刺激しないで絶対に勝手に動かないでよ」

『分かった』

「その言葉信じねーですよ」

しかし、これまでの僅かな道のりだけで大分虧

月の自由な行動は十分身に染みたもので……。

釘を差すように言ったものの、ニコニコと笑い

ながら返された返事に加州同様盈月も不安に重

くため息を吐き出した。



……じゃあ開けるよ……と襖に手を掛けた加州がそ

っとそれを開く……。




＿＿ギンッ




しかし、同時に迫る刃に盈月は虧月の前に出る

と、その刃を受け止めた。

甲高い刃同士のぶつかり合う音を皮切りに、一

気に空気が張りつめる……。

「っと……まぁ、こうなるのは分かってましたがね…！！」

「ちょ、和泉守！？」

突然の襲撃に加州も予想外だったのか……ぎょっ

としたように盈月と鍔迫り合う和泉守に声をあ

げるが、そんな加州の声が聞こえていないのか…

和泉守は鍔迫り合う盈月を睨み付けると、合図

を出すように叫んだ。

「…ッ国広ォオ！！」

「ッ！！」

その合図に盈月が慌てて後ろの虧月を振り向く

が、増した和泉守の押す力に刀を押し返すこと

ができず、虧月の元へと向かうことも叶わない……。


「ごめんね、君に恨みはないんだけど……もう審神者は要らないんだ……」

盈月の振り向いた先で、堀川が虧月へ刀を振り

上げる。

それをまるで他人事のようにねこのぬいぐるみ

を抱き締めた虧月が静かに見上げた……。

「ッ虧月！！」


慌てて刀に手を掛ける加州と盈月の叫びも虚し

く、振り下ろされる様を眺める虧月に無情にも

刀は振り下ろされた……。









しかし、その刹那…………。









＿＿バキッ


「うわぁッ！？」

『わー』






何かの割れる音と共に、不意を突かれたような

堀川の声に思わず鍔迫り合っていた二振の刃も

動きを止めて、そちらへと目を向ける。



「国広！？」

「……まぁ、やるとは思いましたけど……」


驚愕に声を荒げる和泉守とどこか呆れたような

脱力した盈月の声の先で、堀川が苦笑して和泉

守を"見上げた"……。

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