厄災二十と八 ページ33
「……何してんですか？」
『えーげつ！』
頭を触る虧月の小さな手に、成されるがままに
撫でられていた小狐丸。
そんな二人に声を掛けたのは、厨から戻った盈
月だった。
呆れたような気だるげなその声に、襖へと視線
を移した先に佇む彼の名を虧月は満面の笑みを
乗せて呼ぶと、その腰へ抱きつく。
盈月は突進してきた小さな体を受け止めると、
嬉しそうにすり寄る姿にため息を溢した。
「んで？あんたは？」
「(彼奴は主様の……)」
『あのね！"ごまさん"はさっき仲良くなってね！今度髪をとかせてもうんだ』
「いや、誰ですかごまさんて……まず順をおって説明してくれねーですか？」
部屋を出るまで居なかった新顔に盈月が小狐丸
へと視線を移すと、様子を伺っていた小狐丸の
脳裏に、虧月がこの本丸へと訪れた日に付き従
っていた姿が浮かぶ。
思わず何も話さずに盈月の視線を受け止める
と、代わりに虧月が嬉々として盈月を見上げた。
しかし、如何せん重要なところが抜け落ちたそ
れに盈月は困ったように汗を流す…。
これは長くなる…とその場に腰をおろすと、胡座
をかいた足に虧月を座らせて頭を優しく撫でた。
「良いですか？虧月。まず、彼奴の名前は…」
「小狐丸！？…何で此処に……」
「……みてーですね…」
諭すように見上げる虧月の頭を撫でて先ずはと
問いかけたものを遮るように、後ろの襖から聞
こえた声に頷く。
そのまま遮った声の主に後ろを振り返れば、加
州は驚いたように目を見開いて小狐丸を見つめ
ていた。
「加州清光……」
「何で小狐丸が……だって今剣が……三条だって今回のことは無関心なはずじゃ……それに、小狐丸は血に飢えて……」
「とりあえず落ち着いてくれねーですか…加州」
『とりあえずかみーも座って』
「あんたのせいでもあるんですがね…」
混乱したように…終いには刀の唾に指をかける加
州に盈月が言葉を掛けると、虧月が盈月の隣り
の畳を此処に座れとばかりにポンポンと叩いた。
「……で……何で小狐丸が此処に？」
「それは……」
兎に角は落ち着こうと、盈月と虧月の隣りに腰
を降ろした加州が気まづいとばかりに小狐丸へ
と口を開くと、小狐丸もそれ同様に視線を反ら
す。
彼らの大切な主を、飢えていたとはいえ傷つけ
たのだ……。
何と説明して良いのか分からずに口を閉ざす小
狐丸に虧月が言葉を紡いだ。
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不思議の国の有栖さん(プロフ) - 最高です (2021年1月15日 23時) (
レス) id: 1031f2154f (このIDを非表示/違反報告)
紫羅那@龍蓮(プロフ) - 更新頑張ってください！めっちゃ好きです！ (2020年3月11日 17時) (レス) id: 52a85e5aa6 (このIDを非表示/違反報告)
朔櫻 実桜(プロフ) - 羅維さん» 応援の御言葉ありがとうございます！！楽しみだと言っていただけて嬉しいです！最近中々更新ができませんが、なるべく早く更新できるように頑張ります！ (2019年5月14日 16時) (レス) id: b4a1ce9c3e (このIDを非表示/違反報告)
朔櫻 実桜(プロフ) - 闇夜さん» ありがとうございます！！重症待機とは……！早く手入れという名の更新をせねばですね！(笑) 好きだと言っていただけて嬉しいです！更新頑張ります (2019年5月14日 16時) (レス) id: b4a1ce9c3e (このIDを非表示/違反報告)
羅維(プロフ) - 続き、スゴく楽しみです！応援してます！ (2019年5月4日 12時) (レス) id: 11865369a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朔櫻 実桜 | 作成日時：2019年3月25日 17時
