厄災十と七 ページ22
「それって……どういう……」
盈月の言葉に妙に張り付く喉を開いて言葉の真
意を問いかける。
どこか震えたその声に盈月の視線が暗闇から加
州へと移ると、吊り上げた口角を戻して気だる
げに加州を見つめた……
＿＿そんな時だった……。
……うわぁあ"ああぁあああァアア゛ッ！！！
突然張り裂ける程の恐怖に満ちた声が響き渡った…。
「今の……！」
聞き覚えのあるその声に加州が声の聞こえた方
へ焦ったように顔を上げる。
焦る加州の隣で、盈月が赤い夕日に照らされて
硝子玉のように透き通った真紅の瞳を納めた瞼
を静かに細めた。
.
「これは……いったい……ッ！！」
「……やっぱそうなったか」
声を頼りに走った加州と盈月の目の前に広がっ
た、悲鳴の権現の姿に加州が戦慄し戦く。
思わず足を止めて恐怖にその顏を染める加州を
傍目に盈月だけが納得したように頷いた。
『あ、かみーとえーげつ！もうご飯できちゃった？』
「あ……ッ！」
加州と盈月の姿に気づいた虧月が愛らしい笑み
を浮かべて嗤う。
その小さな身体は"滴り落ちる"真っ赤な鮮血に
染まっていた……。
「ぁ…るじ……それって……ッ」
『？これ？』
震える指先で目の前に存在する"それ"を指差し
て恐る恐る口を開く。
加州の問いに虧月はまるで空でも眺めるように
見上げた赤い雫を溢すものを見上げた。
『だから逃げてたんだけどねー……やっぱり出てきちゃったみたい』
にこりと笑った先に在る真っ黒な影のような塊。
意志を持つように蠢くそれは正に"バケモノ"
闇が一つの塊に成ったようなそれは虧月に纏わ
りつくようにその小さな身体を包んでいる……。
だが、その存在以上に加州を恐怖に至らしめて
いるものは黒いバケモノに包まれたもう１つの
存在……。
握り潰されるように包まれて血に染まる"それ"
に……そして、それの下でいつものように無邪気
に笑う虧月に、バクバクと煩わしい程に音をた
てる心臓が嘘であってほしいと喚いた。
「ぃ…まの…つるぎ……！！」
影に包まれ虧月の頭上に掲げられた"今剣"。
握り潰された両腕をだらりと空に放り出して、
赤く染まった着物に身を包んだ今剣の固く閉ざ
された瞼は二度と開いてくれないのではないの
だろうか……。
絶望に染まった加州の瞳の中で身動き１つしな
い今剣に恐怖と後悔が襲った。
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不思議の国の有栖さん(プロフ) - 最高です (2021年1月15日 23時) (
レス) id: 1031f2154f (このIDを非表示/違反報告)
紫羅那@龍蓮(プロフ) - 更新頑張ってください！めっちゃ好きです！ (2020年3月11日 17時) (レス) id: 52a85e5aa6 (このIDを非表示/違反報告)
朔櫻 実桜(プロフ) - 羅維さん» 応援の御言葉ありがとうございます！！楽しみだと言っていただけて嬉しいです！最近中々更新ができませんが、なるべく早く更新できるように頑張ります！ (2019年5月14日 16時) (レス) id: b4a1ce9c3e (このIDを非表示/違反報告)
朔櫻 実桜(プロフ) - 闇夜さん» ありがとうございます！！重症待機とは……！早く手入れという名の更新をせねばですね！(笑) 好きだと言っていただけて嬉しいです！更新頑張ります (2019年5月14日 16時) (レス) id: b4a1ce9c3e (このIDを非表示/違反報告)
羅維(プロフ) - 続き、スゴく楽しみです！応援してます！ (2019年5月4日 12時) (レス) id: 11865369a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朔櫻 実桜 | 作成日時：2019年3月25日 17時
