【刀剣乱舞】禍ツ神の本丸

厄災七つ ページ12

「ここが主の部屋だよ」

『広い…！！』

加州に道を教えてもらいながら訪れた一室に、

広いと喜びながら畳の上を転がる。

無邪気にはしゃぐ虧月とは対称に、盈月は室内

を見渡すと、押し入れから戸棚まで隅々へと目

を通した。

「この部屋の元所有者って、まさか前任じゃねーですよね？」

「前任とは違う部屋だから安心して。……彼処には良い思い出がないから…………誰も手を付けたくないんだ」

前任の部屋に踏入り、片付けることすら嫌だっ

たのだろう……。

使用していない部屋を新しく審神者部屋として

用意したらしい……。

部屋に面する庭は綺麗に整えられていた。

『じゃあ、"だるまさんが転んだ"ね！盈月が鬼！』

「了解」

「え、本当に遊ぶんだったの？」

暫くゴロゴロと室内を転がっていた虧月は、起

き上がると加州に抱きついて見上げる。

その場しのぎの言葉とも考えていた加州だった

が、当たり前のように準備を始める二人に冷静

につっこんだ。









.









「…………さて、まずは審神者就任おめでとうございます！」

『ありがとう？』

「何で自然に馴染んでるの？」

あれから本当にだるまさんが転んだで遊んだ虧

月達は、遊び終えると、いつの間にか遊びに混

ざっていたこんのすけの前に座っていた。

当然のように話始めるこんのすけに加州が首を

傾げるものの、順応性が良いのか同じ空気を纏

っているのか……。

指して気にせずに話を聞く体制になった虧月と

盈月に思わず苦笑を溢した。

「わたくしはこんのすけと申します！先日は御挨拶できず申し訳ございません」

「あの時の狐か……」

『喋れたんだね』

虧月と盈月の脳裏に、神社へと訪れた政府の男

の足元にいた存在が映し出される。

思い出してもらえたことにこんのすけは嬉しそ

うにしっぽを振ると満足気に頷いた。

「いやはや、しかしながらこのように愛らしく無垢な御方にブラック本丸を任せてしまうのはわたくしとしても心苦しい次第であります…しかしブラック本丸を生み出してしまったのも我々の不手際のせいでありますれば……っわたくしがしっかりしていればぁ！！」

しかし、ブラック本丸と化した此処を任せるこ

とと、そもそもブラック本丸に気づくことの出

来なかった己を悔いているらしく……

しゅんと耳を垂れて俯く。

終いにはどこからか取り出したハンカチで溢れ

る涙と鼻水を拭う始末だ。

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