マリアに、懺悔。【1】 (ページ33)

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しかしどうだ。電池を取り換えたように、さっきまで一歩も動けなかった東卍の駒が動き始めた。

殴られ、倒れ込んだ花垣を支え、わらわらとその周りに集まる。

『……タケミっち…場地さんの後を継いでくれたのが、お前で良かった』

『ち、ふゆ……』

『……稀咲。

俺は場地さんを殺ったテメェをぶっ殺してやりてえ！…でも！

これはガキの喧嘩だ。殺し合いじゃねえんだよ。

俺らはただ、かっこつけてえから、意地張って、見栄張って、
力のやり場わかんねえからぶつかって、拳一個で戦ってんだよ！

信じた物の為に！背負った物の為に！！』

あぁ、また。また、場の空気を持っていかれちまってる。
何してんだよお前ら。使えねー奴らだな。
本気出せば、こんなヤツらひと捻りだろ？
何を戸惑ってんだよ。

『……で！？
ボロ雑巾が立ち上がって、どう御託並べたところでよぉ！
負けんのには変わりねーぞ！

このまま、東卍が消えてもいいのか？タケミっち』

『……そのあだ名で、気安く呼ぶな』

『あぁ、めんどくせー連中だな。しょうがねえ、折れてやるよ。

和解だ。東卍と天竺の合併！
どっちが上か下かはナシ！

チーム名は東京卍會、総長もマイキーでいい！！

どうだ、悪くねえ提案だろ！？』

必死さのあまり出たのか、花垣を挑発するために言ったのか正直よく分からなかったが、稀咲は、間髪入れずに花垣からさっきの分のお返しを一発くらって体勢を崩した。

いつまで稀咲はこんな茶番続けるつもりだ？

『…てめぇの腐った脳ミソ叩き直してやるよ。

だから立てよ稀咲。和解なんて、する気はねえぞ』

『……なんでテメェはそこまで俺に固執する』

『………なんでドラケンくんみたいな人が人を殺したのか、俺にはわからなかった』

『は、』

『もう一度、人生をやり直せるなら稀咲を殺す…そう言ったんだ』

『…なにいってんだ、テメェ』

そんな呆れた声を出す稀咲に、再び花垣が拳を振り上げた。

…あぁ、キリがねぇな、これじゃあ。

俺は、花垣が振りかざした拳を受け止めた。なんだ軽っ。

『邪魔すんな、イザナ！』
『退いてろ稀咲。全員まとめて、俺が殺してやる。』

『……させねえよバカヤロー！！』

馬鹿野郎はお前だ、花垣。
そんな甘っちょろい拳が、本当に俺に当たると思ってんのか？

『ナメんなカス。そこで大人しく、くたばっとけ』

キまった。というか、しっかり入った。
間違いなく花垣はもう起き上がれねえだろ。