かわいい黒色さん (ページ38)

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倒れる俺を華麗に躱し、座敷に食器を運んで行く。

倒れた拍子にまだ頬ずりしてた侯隆くんに、所謂『床ドン』？された形になって、俺はめっちゃ痛いのに、なぜか嬉しそうな顔の侯隆くん。

でも痛いのは背中。
侯隆くんがとっさに頭を手で支えてくれたらしい。

「ちょっ、退いてや、何してんの？」

抵抗の印に胸あたりに両手当てて押そうとするけど、学生時代バスケ、最近はキックボクシングの身体には到底敵わんくて、次第に腕がプルプル震えだした。

うわ、膝も痛い。エミのやつ思いっきり蹴りやがって。

そうやって、抵抗してるのに、逆に侯隆くんはもっと嬉しそうな顔して俺を見てる。

「なぁ、ほんまに退いて？」

「あのさ、たっちょんってさ……」

いきなり真剣な顔して言ってくるから、俺も何事かと身構えた。
漫画とかでよくある両腕を前に出してシュ○ッチみたいなやつね。

「……必死になって『ん"～！』って頑張ってる姿もめっちゃ可愛いんやな！！！！！」

身構えて損した。

「…………………………」

アホやろ、この人。

何を言うてるん、ほんま、俺と出会ってきっと丸々25年ずっと。

「ごめん、４つ年上やけど、言わせてもらうな、アホやろ！？」

「うえ！？なんで！？」

「当たり前やろ！何見て可愛いとか言うてんねん！」

アラサーの男見て可愛いとかアホやろ！！
どんな目もってんねん！