かわいい黒色さん (ページ33)

今日:3 hit、昨日:12 hit、合計:19,982 hit

２ページ33

前任の先輩から昨日「横山くんの家に行ってあげて。で、綺麗にしてあげてね」って電話が入った時は何のことかわからんかった。

疑問を持ちつつ来てみたところ、表は30階もある超高級マンションに見えるけど、ここの中身は、荒れ果てた地獄同然やった。

俺は食べカスとかをゴミ袋に突っ込んで、キッチンに溜まってる食器を洗おうとシンクに目を向けると……

「ぎゃあああああぁぁぁぁっ！？」

そこにいた、黒光りする生命体を認識し、尻もちついて後ずさる。

俗に言う、Gってやつ。

こういう時、聞きたくないのに嫌でもカサカサカサっていう動く音が聞こえて、さらに後ずさる。

そうしてたら、手に何か当たる感覚。

「ひぇっ！？」

またなんかおったんかと、死ぬ覚悟で振り向く。

「何してん、自分」

横山さんのつま先やった。

もう、ビックリするやんか……

「あっ、あそこにご、じっ、Gっ」

「ん？あー、ゴキブ……」

「その名前言わんといてください！！」

「なに、怖いん君。なんで？あんなんただの虫やのに」

「そっその虫がダメなんすて！」

「分からんわぁー、あっほんまや、おった」

そう言って、どこからかスプレーを取り出して少しの間かける。

「ん、ええよ」

そう言いながら、割り箸を取り出してなんかを掴んで小さい袋に入れてゴミ袋に突っ込む。