かわいい黒色さん (ページ20)

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僕、やっぱり蚊帳の外やな。
そんなことをドリンク準備しながら思う。

亮ちゃん、昨日の夜『寂しなんてないからな。俺がおったるから。なんかあったら言うてこいよ』なんて、男前なこと言っといて、結局今日もずっと信ちゃんさんと二人で楽しそうにしてるし……

「だうせ僕なんて、冴えない地味な男ですよーだ」

なんて、誰にもぶつけられない言葉を足元に向かって投げつける。
でも、力はなくて、コロンって寂しく転がった。

なんやろ。
悲しくないのに、泣いてまいそう。
ただ、ひとりになって寂しいだけやのに。
そんな理由でなくなんか、ほんまに子供やん？
みっともな……

ドリンクの注文も来んから、余計に涙が出てくる。
それを抑えようとして手で拭うけど、ただ蛇口捻っただけやった。

泣きたくないのに涙は出てきて、ほんまに僕みっともない。

今は、誰にも見られたくない。話したくない。

冴えない僕の悪いところ、めっちゃ出まくってる。

静かに、誰かに悟られないように隠れて泣いてると、背後に人の気配。

亮ちゃんや信ちゃんさんやったらあかん思って、Ｔシャツ顔に伸ばして急いで拭く。
てか、横山さんに見られるのが一番嫌かも。
あんな笑顔を向けてくれる人に、泣いてるところなんか見せて心配かけたくない。
なんでか、強くそう思ってしまう。
僕ほんまにどうしたんやろか？

そう願う僕の思いは、神様に届かんくて。
逆に神様は絶対今、意地の悪い顔で笑ってる。

「……マルちゃん？大丈夫……？座り込んで」

声の主は一番見られたくなかった横山さんで。
横山さんは、何があったんか知らんから、心配して僕の背中に手を当ててくれる。

夏やのに、その手があったかく感じて。
それが止まってた僕の涙をまた溢れさせた。