白鳥沢のレギュラーに選ばれたのは苦労人イケメンでした (ページ24)

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『よし、行くか』

午後8時を少し過ぎた頃、俺はシャワーを浴びている工を置いてロードワークに行こうとしていた

アキレス腱や太ももを入念にストレッチし、スマホで音楽を流して走り出す

(ふー、まだ少し肌寒いな)

ツン、と鼻の奥が痛くなるような冷気をかき分け、夜の街を進んでいると、ﾋﾟﾛﾝｯとスマホがなる

1度立ち止まってスマホを開くと、メッセージは工からだった

【おい！お前俺を置いてロードワーク行っただろ！】

1人で出たことがバレたようだ

今頃工は部屋の中で怒ってるだろうな

メッセージをとりあえず無視し、再び走り出す

今日はどこまで行けるかなー＿＿＿＿＿＿＿

あれから30分程だっただろうか

無心になって走っていたら足が止まらなくなってたみたいで、気づけばあたりは全く知らない土地だった

(やばい、遠くに来すぎたかも)

スマホで時刻を確認する

現在の時刻は20:38＿＿＿

どうしよう、元来た道を戻るべきか

いや、でも…

(まぁ最悪マップをみればいいか)

とりあえず辺りの散策がてら少し歩いていくと、少し進んだところに灯りが見えた

(珍…道中？)

どうやらここはラーメン屋らしい

ラーメンと書かれた赤いのぼりが夜風にはためいている

いくら夕食を食べた後とはいえ、育ち盛りの、ましてや軽く走った後の塩分を欲するこの身体にラーメンの匂いはかなり危ない

『また今度誰か誘って来よう』

気を取り直して先を進もうとしたその時、店から誰かが出てくるのが見えた

ｶﾞﾗﾗﾗﾗ「おじちゃんご馳走様ー」

『あ』

「ん？」

中から出てきたのは、白地に青いラインの入ったジャージを着た茶髪の男の人と黒髪短髪の男の人だった